最近、江崎グリコ株式会社は、独自に開発したビフィズス菌Bifidobacterium animalis subsp. lactis GCL2505(通称GCL2505株)と食物繊維の一種であるイヌリンを組み合わせた研究成果を発表しました。この研究は短鎖脂肪酸の生成が基礎代謝に与える影響を検証したもので、今後の健康維持における重要な知見とされています。
研究の背景
肥満は、心臓病や糖尿病、さらには特定のがんなどの発症リスクを高める要因として知られています。特に、日本では成人男性の33%、女性の22%が肥満とされています。肥満はエネルギー摂取と消費の不均衡から生じるため、基礎代謝、すなわち安静時のエネルギー消費量の向上が重要とされています。したがって、基礎代謝量を増加させる方法を探る研究が進められてきました。
研究の目的
江崎グリコが実施した今回の研究は、短鎖脂肪酸の生成が基礎代謝にどのように寄与するかを明らかにすることを目的としました。特に、GCL2505株がイヌリンと共に摂取されることで、腸内のビフィズス菌が増加し、結果的に安静時エネルギー消費量が増加することが期待されていました。
研究方法と結果
研究には、体重指数(BMI)が25以上30未満の健常な成人男女40名が参加しました。2群に分かれ、一方にはGCL2505株とイヌリンを4週間摂取させ、もう一方にはプラセボを投与しました。その結果、GCL2505株およびイヌリンを摂取した群は、プラセボ群と比較して安静時エネルギー消費量が84.4 kcal/日有意に増加しました。また、腸内のビフィズス菌数も増加し、短鎖脂肪酸が生産されることが確認されました。
論文情報
この研究結果は、2024年7月20日(土)に国際科学雑誌「Nutrients」に掲載される予定であり、著者には湯平元氏や東直樹氏などが名を連ねています。
今後の展望
研究の結果、GCL2505株とイヌリンを継続的に摂取することで基礎代謝が向上し、内臓脂肪や体脂肪の減少に繋がる可能性が示唆されました。これは肥満の予防や、肥満に起因する代謝性疾患のリスクの低減にも寄与するでしょう。
江崎グリコは「タンサ脂肪酸プロジェクト」を通じて、今後も短鎖脂肪酸やGCL2505株の研究を進めていくことを表明しています。これにより、「健康で豊かな生活」を実現するための新たなアプローチが生まれることが期待されます。
まとめ
短鎖脂肪酸が基礎代謝の向上に寄与するという新たな知見は、健康的な食生活の重要性を再認識させます。特に、腸内環境の改善が肥満管理においてどれほど効果的であるかが明らかとなり、今後の研究にも大いに関心が寄せられています。