メタノールと地下微生物
2025-01-30 01:17:43

地下微生物によるメタノールの活用が天然ガス生成に新たな道を示す

地下微生物の新たなメカニズムが明らかに



最近、国立研究開発法人海洋研究開発機構(JAMSTEC)の研究グループが、地下環境における微生物のメタノールを介した共生が、天然ガス生成において重要な役割を果たすことを発見しました。この研究は、メタン生成に関する従来の概念を覆すものであり、将来的なエネルギー資源の利用に大きな影響を及ぼす可能性があります。

メタノールとは何か?



メタノールは、化学式CH₃OHを持つアルコールの一種で、自然界では多くの微生物によって生成されます。近年、特にメチル化合物(メタノールやその誘導体)を利用する微生物が地下での天然ガス生成に関与していることがわかってきました。しかし、メタノールがどのように地下環境で供給されているかは、これまで謎に包まれていました。

新たな発見の背景



研究チームは、地下の微生物コミュニティを詳細に調査し、メタノールを主な最終代謝産物とする新しい微生物群を発見しました。この「メタノール生成バクテリア」は、ギ酸を還元する新奇な代謝経路を持っており、その結果としてメタノールが生成されます。

また、メタノール生成バクテリアとメチル利用アーキア(メタノールを利用する古細菌)の共生により、メタンの生成が行われることが明らかになりました。これは、メタノールの直接的な受け渡しを介した共生関係によるものであり、天然ガス生成の新たなメカニズムを示しています。

研究の意義



この新たな発見は、地下の生態系における微生物間のコミュニケーションを示す重要な成果です。メタノールが微生物間の情報伝達物質として機能し、彼らの共生を促進することが分かりました。このように、メタノールを通じた共生関係が天然ガス生成に寄与しているという新たな理解は、エネルギー資源の効率的な開発や新しい技術の創出につながる可能性を秘めています。

今後の展望



この研究成果は、今後の地下エネルギー資源の有効活用に寄与することが期待されています。メタノールを活用した地下微生物の活性を促進することで、天然ガスの増産を図る新技術が開発されるかもしれません。

国立研究開発法人海洋研究開発機構と国立研究開発法人産業技術総合研究所の研究チームによるこの研究は、2021年に「Nature」に掲載される予定です。学術界においてもこの発見は大きな注目を集めており、今後の詳細な研究が期待されています。

公式プレスリリースは、こちらで確認できます。


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