転職サービス「doda」が発表したミドルシニア採用調査結果の分析
2023年10月、パーソルキャリアが運営する転職サービス「doda」は、ミドルシニア層の採用に関する調査結果を公表しました。この調査は、2024年度に企業が中途採用を行った実績や今後の方向性、人事制度に関する状況を探る目的で企画されました。対象となったのは、企業の採用担当者約1,300人です。
調査の概要と目的
調査は2025年8月に実施され、応募した企業からのデータを集めて分析を行いました。この中で、「ミドルシニア」とは40代後半から50代の人材を指し、これらの人材を採用した企業の担当者505人からの回答を元に、具体的な採用状況や今後の見通しを探ります。
ミドルシニア層の採用実績
2024年度にミドルシニアを5人以上採用した企業の割合は、約40%に達しています。前年比で採用が「増えた」と回答した企業は28.4%、採用が「変わらない」との回答が65.5%、さらに「減った」とした企業はわずか6.1%という結果でした。このことから、多くの企業が前年度よりも高い水準でミドルシニアを確保していることが明らかになりました。
採用ニーズの背景
ミドルシニア層を採用する背景にはいくつかの要因が挙げられています。最も多かった理由は「即戦力となる人材を確保したい」というもので、これに関しては38.0%の企業が同意しています。次いで「人材不足を解消したい」という理由が36.8%、そして「若手人材の採用の難しさ」という理由が36.6%で続きました。
需要の高まりの背景には、即戦力の確保に対する企業の強いニーズや、慢性的な人材不足が深く関わっていることが示されています。これらの要素は、企業がミドルシニアを重視する理由を浮き彫りにしています。
2025年度の採用見込み
中でも、2025年度に40代後半以上の採用が「増える見込み」とする企業は4割以上に及びます。特に、40代後半の採用見込みにおいては46.7%、50代前半で40.4%、50代後半で42.1%、60歳以上でも40.4%がそれに該当しました。この結果は、若年層の採用だけではなく、ノウハウや経験を持つミドルシニアやシニア層の重要性が増していることを示しています。
人事制度の見直し状況
また、この調査では人事制度の見直し状況も注目されています。1年以内に見直しが行われた制度として最も多かったのが「役職定年」で、42.4%の企業がこれに対応しています。一方で「再雇用制度」に関しては、26.1%の企業が見直しが必要としながらも対応できていない現状が浮き彫りになりました。
人事制度の改定にあたっては、専門知識や人材の不足、不公平感の懸念が障害として立ちはだかっていることも分かりました。これらの要因が解決されていくことで、ミドルシニア層の採用がさらに促進されると予想されます。
解説:ミドルシニア採用の未来と人事制度の役割
ミドルシニア層の採用が企業にとっての「当たり前」となりつつある中、採用の意義は更に深まっています。今後、就労人口が高齢化する中で、企業もまたミドルシニアを起用しやすい環境を整える必要があります。企業は柔軟な文化や、戦略的な採用を進めることで、労働市場における人材の多様性を高め、多くの利益を享受することができるでしょう。
このように、dodaが発表した調査結果は、単なる統計データではなく、企業の今後の採用戦略を決定づける重要な情報です。転職市場が変革を迎える中で、企業は必要な人材を効果的に確保し、育成するための戦略構築を急ぐべきでしょう。