夏目光学、次世代放射光施設『ナノテラス』に軟X線集光ミラー納入 - 科学技術発展に貢献
長野県飯田市の夏目光学株式会社が、次世代放射光施設『ナノテラス』に軟X線集光ミラーを納入した。同社の長年培ってきた高精度なX線素子製造技術が評価され、今回の納入に至った。
次世代放射光施設『ナノテラス』とは?
『ナノテラス』は、国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構と一般財団法人光科学イノベーションセンター等が東北大学の青葉山新キャンパス内に整備した、官民連携による研究施設だ。2024年度より稼働を開始し、最先端の加速器技術と光源技術を活用することで、従来では観察できなかった微細な世界をデータ化(可視化)することが可能になった。新材料やデバイスの開発、生命機能の解明、創薬研究など、幅広い分野での活用が期待されている。
ナノテラスは、軟X線領域において国内既存施設の100倍以上の明るさを誇り、世界最高水準の分析能力を有している。いわば「ナノスケールまで観察可能な高性能顕微鏡」として、物質の機能や物質表面の反応を精緻に分析し、科学技術の新たな地平を切り開くことが期待されている。
納入された軟X線集光ミラー
今回納入された軟X線集光ミラーは、夏目光学独自の高精度なX線素子製造技術を用いて製造された。ミラーは、ナノテラスのBL06U:軟X線ナノ光電子分光ビームライン(ARPES)に設置された。このビームラインでは、物質表面の電子状態を直接観察することが可能で、新材料やデバイスの開発に不可欠な情報を得ることができる。
夏目光学の取り組み
夏目光学は、今後も世の中から必要とされる光学素子の開発を通じて、科学技術の発展に貢献していくとしている。
関連情報
次世代放射光施設「ナノテラス」: https://nanoterasu.jp/
量子化学技術研究開発機構: https://www.qst.go.jp/site/3gev/41279.html