大阪・関西万博と農業の未来
気候変動や高齢化が影響を及ぼす日本の農業。これからの世代が健全な国産野菜を享受できない恐れがある中、都市型農業に挑むのがスパイスキューブ株式会社です。2025年に開催される「大阪・関西万博」を舞台に、企業は新たな農業の形を提案しています。
スパイスキューブの取り組み
スパイスキューブは「世界中どこでも農業」をビジョンに掲げ、小型植物工場や室内農業装置の設計・開発を手掛けるスタートアップ企業です。彼らは、農業を日常生活の一部として取り込むことを目指しています。企業が開発した「AGROT(アグロット)」は、わずか畳一畳ほどのスペースで運用できる農業装置で、空き家や遊休地を有効活用した農業サブスクリプションモデルを展開中です。
万博での展示
万博の開催中、スパイスキューブは以下の3つの主要な展示を行います。
1.
JR弁天町駅「Farmarium」
空気中のCO₂を捕集するDAC技術を用いた次世代の植物工場「Farmarium」では、回収した二酸化炭素が野菜の成長を促進します。弁天町駅では、新鮮な野菜を「デリカフェキッチン大阪mido店」で楽しむことができます。
2.
「Leafus」の展示
大阪ヘルスケアパビリオンにて、スパイスキューブが水の流れを均一化し、軽量で耐久性の高い植物工場「Leafus」を披露します。この装置で育てられた新鮮な国産野菜は、同パビリオン内の飲食店「PACKN-TO」で使用されています。
3.
秋の特別展示「ミライと和の調和」
大阪ヘルスケアパビリオンでの展示では、都市の日常生活に密接に関わる農業の可能性や循環型社会への貢献について紹介されます。
農業の使命
スパイスキューブの代表である須貝翼氏は、"農業を特別な誰かの仕事ではなく、みんなの暮らしの一部にする"という理念を持っています。農業人口の減少や、気候変動に伴う食料不足、空き家問題など、現在の社会が抱える課題を解決する手段として、農業とテクノロジーの融合が必要不可欠だと強調します。
未来を見据えた都市農業
スパイスキューブにとっての関西万博は、未来の生活を見つめ直すための重要な場です。都市農業は一般の人々にとっても身近であり、興味を持ってもらうきっかけになることを期待しています。万博を通じて、多くの人々に農業の楽しさや大切さを感じてもらい、日常生活に農業を取り入れるきっかけになればと願う須貝氏の言葉が印象的です。
まとめ
スパイスキューブは、都市部の食料生産を可能にする提案を展開し、地域の経済、雇用創出、そしてSDGsの実現に貢献することを目指しています。大阪・関西万博を契機に、農業が私たちの暮らしにどのように根ざしていくのか、その未来に目が離せません。
スパイスキューブ株式会社は2018年設立のアグリテック系スタートアップ企業で、同社の取り組みは都市農業の新しい形を探るヒントを与えていると言えるでしょう。今後の展開に期待が寄せられます。