求人応募における身だしなみ意識の変化 - 寛容傾向と企業選びへの影響 -
総合人材情報サービスの株式会社アイデムが、2024年5月に総合求人サイト『イーアイデム』の会員を対象に実施した調査によると、求人応募者における勤務時の適切な身だしなみに対する意識は、2021年と比べて変化が見られることがわかりました。
勤務時の適切ではないと感じる身だしなみは減少傾向
調査結果によると、勤務時に適切ではないと感じる身だしなみとして最も多かったのは「肌の露出の多い服装」で、45.7%でした。これは2021年6月調査と比較して、大幅に減少しています。
2021年調査では、適切ではないと感じる身だしなみとして「肌の露出の多い服装」「大振りのピアス、イヤーカフ」「金髪等派手な色の毛染め」のいずれも6割近くが選択していましたが、2024年の調査では、これらの選択肢を選んだ割合が軒並み半数近くまで減少しています。
一方で、「当てはまるものはない」と回答した人は27.1%で、2021年の調査と比べて倍増しました。このことから、勤務時の外見に関する意識は全体的に寛容になっていることがうかがえます。
身だしなみに関する表記は応募意欲に影響を与えない?
求人情報に記載された身だしなみに関する内容が、応募意欲に与える影響について調査した結果、「応募意欲に影響はない」と回答した人が多数を占めました。
「応募意欲は上がる」と回答された身だしなみとして最も多かったのは「服装自由」で、26.2%でした。次いで「髪型自由」が20.1%となりました。服装に関しては、全体の四分の一の人が応募意欲が高まると回答しており、職場で厳しい条件がなければ、求人に記載することで新たな縁につながる可能性があると言えるでしょう。
一方、「応募意欲は下がる」と回答された身だしなみとして最も多かったのは「ひげOK」で、18.0%でした。次いで「ネイルOK」が13.7%となりました。ひげは、例えば食べ物を作る・運ぶといった業務では衛生上の懸念があり、ネイルは飲食業のほか医療・福祉職など、身体的な接触を伴う業務にも支障が出る場合が考えられます。
身だしなみについては、近年、多様性や個性を尊重する風潮もあり寛容になってきている一方で、職種によっては、厳しい条件が求められる場合もあります。そのため、一概に求人情報に記載された身だしなみに関する内容が応募意欲に影響を与えるとは言い切れないようです。
応募前の情報収集は積極的に行う傾向
求人に応募する前に、求人企業または求人情報に関する情報収集を行うかどうかについては、全体の8割弱の人が何らかの情報収集を行っていることがわかりました。
最も多かったのは「企業のホームページを探す」で、45.4%でした。次いで「複数の求人サイトで同じ企業の求人を探す」が28.4%、「企業の口コミを探す」が28.0%となりました。
雇用形態別にみると、「正社員」を希望する人の61.4%が「企業のホームページを探す」と回答しており、企業情報を入念に調べてから応募する傾向が見られます。「パートまたはアルバイト」を希望する人の約3割は、情報収集する前に応募に進むことも多いようです。
年代別にみると、「30代以下」では「知人・友人・家族に評判を聞く」が20.8%で、周りの意見も参考にしたいという傾向が見られます。「60代以上」では「特に調べず、いいなと思ったらすぐ応募する」が31.5%で、応募までのスピードが速い傾向が見られます。
応募件数の目安は求人内容によって異なる
今回の求職活動期間の中で、求人に応募する件数の目安について調査した結果、「件数に目安はなく、良い条件があれはすべて応募したい」が37.5%で最も多く、次いで「2~5件」が34.5%、「1件だけ」が22.0%となりました。
希望雇用形態別にみると、「正社員」では、「件数に目安はなく、良い条件の求人があればすべて応募したい」が49.1%で最も多く、約半数は目安を設けていませんでした。「パートまたはアルバイト」では「2~5件」応募するとした割合が36.1%、「1件だけ」が30.0%で、応募件数に目安を設けて活動している人が多いようです。
まとめ
今回の調査結果から、求人応募者における勤務時の身だしなみに対する意識は、2021年と比べて寛容になっていることが明らかになりました。しかし、求人情報に記載された身だしなみに関する内容は、応募者の意欲に大きな影響を与えるとは限らないようです。
企業は、求人情報に身だしなみの情報を掲載する際、職種や企業文化などを考慮して適切な表現を選ぶことが重要です。求人応募者も、事前に企業情報をしっかりと調べて、自分の価値観や能力と合致する企業を見つけることが大切です。