7社と連携し新型コロナ治療薬の製造が発表 低中所得国への供給拡大へ
新型コロナ治療薬「エンシトレルビル」製造契約の意義
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の治療薬であるエンシトレルビル フマル酸に関し、Medicines Patent Pool(MPP)は7社のジェネリック医薬品メーカーとサブライセンス契約を締結しました。この契約により、117の低中所得国(LMICs)への供給が可能となります。2022年11月に日本での緊急承認を受けたエンシトレルビルは、ウイルスの3CLプロテアーゼという酵素を選択的に阻害することで、新型コロナウイルスの増殖を抑えます。
契約の内容
今回の契約は、中国の3社(浙江チャリオティア製薬、浙江レプー製薬、上海フォスン製薬)、インドの2社(ヘテロ、ロラス・ラボ)、ウクライナの1社(レーヒム)、ベトナムの1社(ステラファーム)を含む7社が対象です。この契約は、塩野義製薬とのヘッドライセンス契約に基づいて結ばれたもので、これにより、解析した結果が117のLMICsでのエンシトレルビルの製造・供給につながると期待されています。
厚生労働省の承認とファストトラック指定
エンシトレルビルは日本で2022年11月に厚生労働省から緊急承認を得ました。また、2023年4月には米国食品医薬品局(FDA)から開発が促進される「ファストトラック」に指定されています。これにより、エンシトレルビルの迅速な開発・製造が期待されています。
代表者のコメント
塩野義製薬の手代木功会長は、今回の契約を喜ばしく思っており、国際機関とのパートナーシップが医薬品へのアクセスを改善すると述べています。「この契約がLMICsに住む人々へCOVID-19治療の新たな選択肢を提供する効果的な手段になればと考えています」と強調しています。
一方、MPPの代表者チャールズ・ゴア氏は、ジェネリック製造パートナーとの緊密な協力を通じて、エンシトレルビルの早期提供を目指す方針を表明しました。COVID-19が依然として国際的な懸念となる中、質の高い治療法がLMICsで早急に利用できることが重要であると訴えています。
医療アクセスの重要性
南アフリカのDesmond Tutu HIVセンターのNombeko Mpongo氏は、医療アクセスの改善が地域社会全体の幸福に直結していると指摘しています。COVID-19により家族を失った人々に対するサポートの重要性を強調し、治療薬への公平なアクセスが大切であることを訴えました。
今後の展望
MPPと塩野義製薬は今後も連携を深め、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)の実現に貢献するため取り組むとしています。また、エンシトレルビルの開発は、今後も感染症対策の一環として重要視されるでしょう。これにより、LMICsにおけるCOVID-19治療の選択肢が増え、医薬品へのアクセスが改善されることが期待されます。
このように、新型コロナ治療薬エンシトレルビルに関するサブライセンス契約は、世界中で医療アクセスの向上を目指す画期的な一歩と言えます。今後の動きに注目が集まります。
会社情報
- 会社名
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Medicines Patent Pool
- 住所
- Rue de Varembé 7, fifth floor 1202 Geneva, Switzerland
- 電話番号
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