新NISAの急速な普及と未利用の実態
新しいNISA制度が導入されてから、約1年半が経過しました。この制度は特に資産形成を促進することを目的としており、これまでの使用状況は注目に値します。株式会社イノベーションの完全子会社、Innovation IFA Consultingが実施した調査によれば、新NISAの総買付額はなんと約59兆円に達したとのことです。これは政府が掲げた目標である「2027年末までにNISA買付額56兆円」を2025年3月末時点で前倒しで達成したことを示しています。
現役世代への浸透
総人口のうち、新NISA口座を保有している人数は約2647万人で、普及率は24.8%に達しています。特筆すべきは、18〜64歳の現役世代における普及率が37.5%であり、これまで高齢層が中心であった旧NISAからの移行が現役世代へと進んでいる点です。この変化は、日本の投資環境が変わりつつあることを示しています。
課題:未利用口座
しかし、全体の38%が一度も買付を行っていないという「未利用口座」の存在も浮き彫りになっています。特に、70代以上の高齢者層での利用が停滞しており、健康状態やライフステージの影響が関与していると考えられます。また、旧NISAから自動移行されたケースも多く見られ、これらの口座が放置されている可能性も指摘されています。
利用に関する悩み
Innovation IFA Consultingが行ったアンケート調査においては、NISAを利用しない理由として「知識がなくて困っている」「仕組みが複雑で理解できない」といった声が多数寄せられました。多くの人が「商品選びに不安がある」と感じており、この障壁をクリアするためには制度理解の浸透や、より多くのサポート体制が不可欠です。
利用者の動向
調査結果から、NISAの利用者は以下の3つの傾向が見られます。まず、つみたて投資枠の活用が高く、長期・積立・分散投資を実践することで、制度の趣旨に沿った資産形成を進めています。次に、投資信託の積立ランキングでは「全世界株式」や「米国株式」が上位を占め、グローバル市場への期待が強まっています。最後に、若年層は少額からコツコツと投資し、リタイア世代はまとまった資金を運用するなど、世代によって異なる投資行動が顕著です。
これらの傾向を見ることで、新NISAが持つ本来の趣旨に沿った利用が広がりつつあることは間違いありません。しかし、未利用層の存在や制度の複雑さが依然として課題であるため、今後はさらなる情報提供やサポートが求められます。将来的には、構想段階にある「こどもNISA」が新たな普及の鍵となることが期待されています。
企業の使命
株式会社イノベーション及びInnovation IFA Consultingは、資産運用コンサルティングのサービスをより多くの人々に提供することを目指しています。デジタルを活用し、より広範囲のお客様のニーズに応えることで、資産形成の支援を行っています。これにより、より多くの人々が自らの資産を育てる手助けができるよう努力しているのです。
この調査結果は、日本の金融市場が今後どのように発展していくか、そして投資家たちの意識をどう変えていくのかを示唆する重要なデータとなります。