商船三井と三菱造船、世界初の液化CO2・メタノール兼用輸送船設計を承認

商船三井と三菱造船、革新的な輸送船の設計承認

株式会社商船三井と三菱造船は、革新的な液化CO2・メタノール兼用輸送船の設計に関する基本承認（AiP）を取得しました。これは世界初の成果であり、海運業界の脱炭素化に寄与することが期待されています。

背景と目的

現代の海運業界では、CO2の削減が求められています。その中で、CO2を燃料や化学製品に転換する技術、つまりCO2の回収から利用、貯留を含むCCUS（Carbon dioxide Capture, Utilization and Storage）が注目されています。特に、回収したCO2から合成メタノールを製造するサプライチェーンの構築が始まっており、合成メタノールは新たな船舶燃料として期待されています。

新しい輸送船の設計

今回承認された輸送船は、低圧仕様の液化CO2（LCO2）を運ぶことが可能であり、往路でCO2を、復路で合成メタノールを運ぶことを目指しています。通常、専用船を使う場合、片道は空荷で進まざるを得ませんが、兼用船が実現すれば全体の輸送効率が向上します。

商船三井と三菱造船は、今後もこのプロジェクトを進めることで、サプライチェーン構築に向けた協力を進めていく予定です。

環境への取り組み

商船三井グループは、2050年までにネットゼロ・エミッションの実現を目指しています。この新しい輸送船の開発は、その大きな一歩といえるでしょう。さらに、北米・南米・豪州で合成燃料及び合成メタノールの開発に取り組むHIF Global LLCへの参画など、グローバルな環境ビジョンの実現に寄与しています。

三菱重工グループも、エナジートランジションを重視し、海事エンジニアリングの発展に努めています。今回の取り組みは、業界全体の脱炭素化を見据えた重要なプロジェクトです。