築野食品工業、審査委員長賞の快挙を達成
和歌山を拠点とする築野食品工業株式会社が、令和6年度の食品ロス削減に寄与する取り組みが評価され、審査委員長賞を受賞しました。この受賞は、持続可能な社会の実現に向けた同社の活動が認められた、非常に意義深いものです。
受賞のポイント
受賞の核心となる取り組みは、「廃白土」と「脱脂米ぬか」を用いたキノコ培地の開発です。このキノコ培地は、かつて産業廃棄物として扱われていた材料を活用することで、資源の循環利用を実現しています。具体的には、米ぬかという貴重な原料を使用し、さらに油脂製造の副産物である廃白土を再利用するという画期的な技術をもっているのです。
取り組みの背景
米ぬかは、食用油脂の原料として用いられ、特に築野食品の主力製品である「こめ油」の製造に欠かせない素材です。しかし、この米ぬかの中には、まだ食用油脂が含まれています。また、脱色工程で使用された白土は、これまで廃棄されていたため、環境負荷を発生させていました。
築野食品はこの現状を打破し、2019年に「築野MIX」というキノコ培地を開発し、現在ではその販売が拡大しています。2023年には、1,185トンものキノコ培地が出荷され、これにより88トンのこめ油の増産が見込まれ。また、廃棄されていた廃白土は、2018年の年間1600トンから2023年にはゼロへと劇的に減少しました。
賞の評価と今後の展望
受賞理由としては、廃白土を有効活用する道を整理した点や、日本で唯一自給可能な油脂資源の最大限の活用が挙げられています。また、この取り組みがCO2削減に貢献していることや、同業他社への普及の可能性も期待されており、今後の展開に注目が集まります。「お米の油は、つの食品」というフレーズが更に多くの消費者に響くことでしょう。
表彰式の詳細
今回の受賞を祝う表彰式は、令和7年1月31日(金)にZOOMウェビナーによるWEB配信形式で開催されます。第1部では表彰式が行われ、第2部では受賞事例の発表が予定されており、築野食品工業の発表時間も確保されています。報道関係者を含め、誰でも参観できる機会が設けられており、業界全体の目が向けられています。
もったいない大賞とは
今後の持続可能な食品産業の発展を目指す「食品産業もったいない大賞」は、公益財団法人食品等流通合理化促進機構が主催し、農林水産省が協賛のもと、環境対策に顕著な実績を上げた業者を表彰する取り組みです。東日本大震災を機に「もったいない」の精神が再評価され、地球温暖化と省エネルギーの両方に寄与することが呼びかけられています。
未来へ向けて
築野食品工業は、米ぬかの研究開発を長年にわたって続けており、その過程で得られた知見をもとに、食品や医療などさまざまな分野に拡大しています。今後も国内の資源を利用し、地球環境や日本の生産者、そして消費者にとって良い循環を生み出すことを目指し続けています。これからも築野食品工業の取り組みに期待が寄せられることでしょう。
詳細情報は、公式サイトで確認することができます。