トヨタ財団の助成で進化する介護・障害支援の未来
株式会社想ひ人は、公益財団法人トヨタ財団が提供する2025年度特定課題「先端技術と共創する新たな人間社会」の一環として、介護や障害に関する「制度未接続」の解消を目指したAIと人のハイブリッド支援研究を開始しました。今回のプロジェクトには、800万円の助成金が支給され、2026年5月からは本格的な研究がスタートします。
研究の目的と背景
この研究の主な目的は、介護、障害、医療など福祉領域で制度にアクセスできずにいる人々に対し、AIを活用した制度情報の提供と、専門的な支援が併用できるハイブリッド型支援モデルを実装し、その効果を検証することです。介護家族として14年間の経験を持つ代表の金子萌氏は、「制度は存在するのに、必要な人には届いていない」とする構造的課題に直面し続けてきました。
そして、彼女が著しく感じたのは、制度が多く存在するにもかかわらず、縦割りの行政システムのために必要な情報が手に入らなかったり、窓口にたどり着けなかったりする居住者が多数いることです。この「制度未接続」が、さらなる孤独や孤立を生んでいるのです。
Hybrid Support Modelの必要性
本研究では、AIによる制度の抽出、有人SNS相談、既存の窓口利用という三つの支援手段がどれだけ効果的かを分析します。また、行政におけるデジタル化(DX)の設計原則を明らかにし、AI導入後の住民の自己決定や、自身の意思が不明確になってしまうリスクについても考察していく予定です。
特に注目すべきは、支援が必要な人が、自ら相談窓口にたどり着くのがいかに難しいかという現実です。相談を躊躇する理由には、自分が支援の対象になるとは考えない心理や、相談先がわからないことなどが挙げられます。このような背景がある中で、AI技術を利用して必要な情報を届けることが、どれほどの改善をもたらすかを実証的に検証します。
堺市での実証実験と研究の展望
株式会社想ひ人は、既に大阪府堺市において孤独・孤立をテーマにした実証プロジェクトも推進しています。このプロジェクトでは、「LINE公式アカウントを通じたAIによる窓口案内」など、多岐にわたる支援の可能性を探っています。これまでの知見をもとに、今後はさらに広い視点でAIと人のハイブリッド支援を検証し、複数の自治体間での比較も行います。
独自のデータ分析と社会への還元
本研究の大きな特長は、住民側と支援者側の両方からのデータを組み合わせて分析する点です。最終的に得られた研究結果は、政策提言や自治体向けのガイドラインとして広く社会に還元される予定です。金子萌氏は、「私が直面してきた制度未接続の問題を、データに基づいて解決する道筋を明らかにしていきたい」と意気込みを示しています。
まとめ
トヨタ財団の助成を受けた株式会社想ひ人のこの研究は、今後の介護や障害支援に関する新たな方向性を示すものであり、利用者にとってより良い制度接続へ向けた重要な一歩となることでしょう。
本プロジェクトの進展が期待される中で、関係者はますます深いレビューが求められます。制度未接続の解消は、孤独や孤立の軽減に直結し、より多くの人に信頼される公的サービスを提供するための基盤を築くこととなるでしょう。