東京都立大学が挑む燃料電池の未来
東京都立大学が国立研究開発法人NEDOと連携し、2035年を目指して新たな燃料電池技術の研究開発を始めました。このプロジェクトは、水素利用を拡大するための新しい電解質超薄膜の開発を中心に展開されています。この取り組みは、大型商用車両の燃料電池技術の進展に大きく寄与するものと期待されています。
1. 研究の背景と目的
近年、環境問題への配慮が高まる中、水素を利用した燃料電池技術は注目を集めています。特に、商用モビリティ(HDV:Heavy Duty Vehicle)では、航続距離や稼働時間の向上が求められています。NEDOが示した燃料電池ロードマップによると、2035年までに高性能・高耐久な電解質膜が必要とされています。これに応える形で、東京都立大学は独自の技術を用いて新たなナノファイバーフレームワークを開発することとなりました。
2. 技術の特徴とプロジェクト概要
本プロジェクトでは、機能性ナノファイバーフレームワークを基にした高伝導性・高耐久性の電解質膜を開発します。この膜は、化学的な安定性を向上させ、5μm以下の薄膜でも機械的安定性を確保する特徴があります。また、プロトン伝導性を促進し、ガスバリア機能も強化しています。これらによって、燃料電池の性能を飛躍的に向上させることを目指します。
3. 研究開発体制
東京都立大学は、この事業の中心的な役割を担い、電解質膜と成膜プロセスの開発が行われます。研究代表者の川上浩良教授と、開発責任者の山登正文准教授のもと、岩手大学や秋田大学とともに研究を進めていきます。プロジェクトは2025年から2027年度の契約期間で総額約6.2億円の資金が投入されます。
4. 目指す成果と期待される影響
本研究は、電解質膜の革新を通じて燃料電池技術の発展に寄与し、特に大型商用車向けにおける応用が期待されています。氷山の一角に過ぎない燃料電池技術の進歩は、電動車両の普及にとどまらず、持続可能な未来を実現する鍵となるでしょう。コストの低減や製品ニーズへの適合化を図りながら、DX技術を活用した自動自律実験が開発速度の向上を支えることで、さらなる飛躍を目指します。
5. 未来への展望
2035年を見据えた本プロジェクトの成功は、日本が再び国際的な競争力を持つ水素社会の構築に向けた大きな一歩となります。私たちは、燃料電池が社会の主流となる未来を夢見ています。東京都立大学の取り組みを通じて、この夢が現実になることを期待しましょう。