国立大学法人千葉大学(以下「千葉大学」)が、アステラス製薬株式会社(以下「アステラス製薬」)と新たなクロスアポイントメント協定を結びました。この協定により、両者は共同で人材交流を進め、研究開発分野におけるイノベーションを促進することを目的としています。
クロスアポイントメント制度とは?
クロスアポイントメント制度は、研究者が大学や公的研究機関、企業の2つ以上の機関で雇用されながら、それぞれの役割に応じた研究、開発及び教育を行うことを可能にする制度です。この制度により、千葉大学の教員が初めて民間企業に勤務することとなります。具体的には、村田武士教授がアステラス製薬に派遣され、研究専門職のPrincipal Investigator(PI)として膜タンパク質の研究に従事します。
協定締結の背景
膜タンパク質は、ヒトのゲノムでコードされる全タンパク質の約30%を占め、細胞のシグナル伝達や物質輸送、生体エネルギーの生成などにおいて重要な役割を果たします。そのため、多くの医薬品が膜タンパク質に作用し、創薬において重要なターゲットとなっています。しかし、膜タンパク質はその安定性が低いことから、取り扱いが難しく、創薬研究の過程で多くの課題が存在していました。
今後の展望
今後、村田武士教授の知見と経験が活かされ、アステラス製薬内に膜タンパク質の構造解析を行うプラットフォームが開設される見込みです。このプラットフォームによって、合理的な化合物デザインが可能になり、創薬研究が飛躍的に進展することが期待されています。教授は、千葉大学が持つ膜タンパク質の発現や精製、構造解析技術を駆使し、低分子創薬の分野での革新を目指します。
さらに、この協定を通じて千葉大学は、新しいネットワークの構築や、若手研究者の育成にも注力していく予定です。双方の機関が持つリソースと専門知識を融合させることで、より一層の研究の深化が進むことでしょう。
まとめ
こうした協力を通じて、千葉大学とアステラス製薬は、研究開発における新しい潮流を作り出すことを目指します。膜タンパク質研究の未来に期待が寄せられる中、この取り組みが創薬の進展にどのような影響をもたらすか、注目が集まります。