M&A仲介協会の最新発表
一般社団法人M&A仲介協会(以下、当協会)が最近発表した内容が、中小企業経営者にとって非常に重要なものである。東京都千代田区に本拠を置く当協会は、2021年10月に設立され、年々増加する中小M&Aの支援活動に力を入れている。特に、最近の発表では、不適切な譲受け事業者に対する注意喚起と、その影響を受ける可能性のある中小企業経営者への配慮が目立つ。
不適切な譲受け事業者とは?
不適切な譲受け事業者は、経営権を取得した後に譲渡側の経営者の個人保証を解除せず、資産を不正に抜き取ったり、放置したりする事業者を指す。このような行為は、中小企業にとって甚大な被害をもたらす可能性があるため、当協会はその撲滅に向けた取り組みを強化している。
M&A取引の現状と問題点
2022年度における国内の民間M&A支援機関による中小M&Aの実施件数は4,036件に上り、前年比で増加しているとされる。しかし、その一方で不適切なM&A取引も増えつつあり、企業経営者が注意を払うべき状況となっている。これを受けて、当協会は倫理規程を定め、業界自主規制ルールを導入した。特に重要なのは、2024年10月から運用が開始される予定の「特定事業者リスト」だ。このリストにより、業界内で不適切な譲受け事業者の情報を共有し、事業者間の警戒を強化する。
経営者保証に関する基準
当協会では、会員に対して「経営者保証に関する基準」を設けている。この基準に基づき、M&A取引の際に経営者保証が解除されない可能性がある場合には、その内容を明確に説明する義務がある。これにより、不適切なM&A取引への抑止効果が期待される。
経営者へのお願い
事業承継やM&Aを検討している中小企業経営者には、M&A支援事業者を選定する際に、当協会の基準を遵守していることを確認するよう呼びかけている。また、当協会は随時、注意喚起を行い、利用者が被害に遭わないよう努めていくとしている。
苦情相談窓口の設置
さらに、当協会は苦情相談窓口を設置し、M&A支援事業者に関する問題や不適切な取引に関する情報を広く集めている。情報提供の呼び掛けも行っており、M&A仲介協会の公式サイトから相談が可能だ。
M&A仲介協会の概要
最後に、M&A仲介協会は中小企業庁などと連携し、公正で円滑なM&A取引の推進に務めている。会員数は129社となり、年間約2,200件のM&Aを支援している。今後も中小企業を守るための取り組みを続けていく所存だ。