大手企業の新規事業企画に対する不安
2023年10月、IT会社のEngineerforce Inc.が実施した調査により、大手企業が自社で立案する新規事業企画の妥当性に対し、驚くべき結果が明らかになりました。調査対象は従業員500名以上の企業で新規事業企画に関与する110名です。
調査結果の一つとして、95.5%の respondents が「自社の新規事業企画に不安を抱えている」と応えています。この数字はアナログでは聞き捨てられない割合です。この不安の具体的な理由としては、61.9%が「企画段階での検証不足」を挙げており、ユーザーニーズを把握しきれないという意見も52.4%に達しています。
不安を感じる理由
この調査からは、「企画段階での検証不足」が最も多い理由であることが浮かび上がりました。この結果を見ると、企業内での企画検証プロセスが十分に確立されていないことが、事業リスクを高めている要因と考えられます。また、客観的な評価基準が無いことや、技術的な実現可能性の判断が困難であるとの指摘も多く見受けられました。
実際に、「客観的な評価基準が設定できない」と答えた人も48.6%に及び、これが新規事業の計画において致命的な問題となっていることが伺えます。
検証方法の実態
そして、どのように新規事業企画を検証しているのか、その実態も気になります。調査対象者の60%が「社内の関連部署によるレビュー」で実施していると答え、続いて55.5%が「外部コンサルタントによる評価」を挙げています。しかし、どの方法にも限界があり、特に外部からの評価は自社の業務理解が不十分な場合、精度に欠けることが少なくありません。
以下、企画検証の主な段階における状況についても詳しく見てみましょう。
1. 検証期間
検証には「1〜2ヶ月」が最も多いという結果が出ていますが、これでもしっかりとした検証が行われているのか疑問が残ります。昨今のビジネス環境の変化を考えると、より速やかかつ的確な判断が求められるケースが多くあるため、実施期間が短すぎるかもしれません。
2. 成果物と意見収集
調査では、企画検証の成果物として「ワイヤーフレーム」「事業コンセプト資料」「画面遷移図・サイトマップ」が挙げられました。それにも関わらず、意見収集の多くは「オンライン会議」で行われており、迅速性と効率性の両立ができているのか疑問も残ります。
不安を抱える実態を裏付けるように、61.1%が「オンライン会議でのディスカッション」で評価や意見収集を進めていますが、特に参加者間の意見が合意形成に至らない問題も起こるかもしれません。
解決への道
調査結果に基づくと、企業は検証プロセスの体系化や、専門的な知見に基づく適切な評価基準の導入を急務としています。新規事業の成否は、企画段階における確実な検証にかかっていると言えるでしょう。このような背景を踏まえ、大手企業の担当者たちは自社の検証プロセスを見直し、持続的な成長を求められる時代に適合させていく必要があるのです。
まとめ
今回の調査から、大手企業が新規事業企画に抱える不安や課題が浮き彫りになりました。エンジニアリングやデザインの専門知識を駆使し、企画検証のプロセスを見直すことで、企業はよりイノベーティブで競争力のある事業展開ができるようになるでしょう。検討が進む中、その結果がどのように生かされていくのか、今後の動向が非常に注目されます。