ニュージーランド酪農協力プロジェクトが放牧の未来を語る春のセミナー

ニュージーランド酪農協力プロジェクト放牧オンラインセミナー2025春開催レポート

2025年5月9日、ニュージーランド政府とフォンテラジャパン、ファームエイジが主催する「ニュージーランド北海道酪農協力プロジェクト」が、放牧酪農セミナーを開催しました。北海道ならびに全国から約50名が参加し、放牧の重要性と先進技術を学ぶ貴重な機会となりました。

セミナーのテーマと目的

セミナーは、以下の重要なトピックに焦点を当てました。

- 自給飼料の活用方法
- 所得向上と時間効率化
- 酪農技術の普及とモチベーション向上

特に今回は「ファームウォーク」という新たな技術にスポットライトが当てられ、多くの参加者にその重要性が共有されました。

和田氏からの講演内容

和田氏は、まず自身の経験を元にニュージーランドの酪農業の現状を詳述しました。彼によれば、国際乳価の変動は収益へ大きく影響するという課題が存在し、この背景には効率的な放牧システムがあることを強調しました。また、自身の牧場での放牧管理手法を詳細に説明し、「ファームウォーク」の意義について語りました。

ファームウォークは、ライジングプレートメーターを用いて草量を測定し、放牧計画や飼料管理に役立てる管理手法です。これにより放牧の効率を計測し、日々の必要飼料量と比較して管理を行うことができます。和田氏は、草地管理を怠った場合の具体的なコストとして、30万〜40万ドルもの損失を出した経験を共有し、貴重なデータに基づく管理の必要性を訴えました。

高原氏の実践例

次に高原氏が、自らの経営する牧場でのニュージーランド技術の導入について具体的な成果を紹介しました。彼は、放牧による乳量の増加や飼料コストの削減の成果を示し、実際に自己飼料からの乳量が大きく増加した事例を説明しました。そして、自動車業界で培った改善意識を酪農に生かし、迅速な意思決定を重視している点も明らかにしました。

質疑応答セッション

セミナーの後半では質疑応答も行われ、ニュージーランドの温暖化の影響についての質問が飛び交いました。和田氏は、気温の上昇が草の成長に影響を与えている現実を報告し、一方で高原氏は降雨が作業のタイミングに影響を与えるようになったことを述べました。

また、ファームウォークに対する技術や経験が必要であるとの意見に対し、和田氏は家族との時間も重要視し、従業員に業務を委任する体制を整えていると説明しました。