腹膜透析の選択肢を広げる取り組みと未来の展望
一般社団法人リンクアが運営する「おうちで透析」チームは、2040年までに、環境上の理由から腹膜透析を選ぶことができない患者をゼロにすることを目指しています。
透析治療は主に血液透析と腹膜透析の2つの方法に分かれますが、日本における腹膜透析の選択は非常に少なく、その割合はわずか3%です。これは他の国と比べて著しく低い数値です。たとえば、諸外国では10%から30%が腹膜透析を選んでおり、日本の医療環境がどれだけ特殊であるかが浮き彫りになります。これに影響を与えている大きな要因は二つ、「腹膜透析自体が知られていない」ことと「地域によってはサポート体制が不足している」ことです。
腹膜透析のメリットとデメリット
私たちは腹膜透析をただ単に推奨しているわけではありません。むしろ、腹膜透析に関するメリットとデメリットの両方を正しく理解したうえで、患者自身がどちらの選択をするか、自ら決定できる環境を整えることが重要だと考えています。これはSDM(Shared Decision Making)という理念に基づき、医療側が一方的に治療方法を押し付けるのではなく、患者の価値観や将来の希望を考慮しつつ、共に最適な治療法を選んでいくアプローチです。
かつて患者は「おうちでできる腹膜透析」という選択肢を知らないまま、またはその意義を十分に理解しないまま、血液透析を選ばざるを得ない状況が多くありました。
腹膜透析がもたらすQOLの向上
腹膜透析は、自宅で行うことができる透析治療です。結果的に、週に3回の通院が必要な血液透析と比べると、生活の質(QOL)が向上することが多くの患者によって確認されています。「孫に会いやすい」「趣味や旅行を楽しむことができる」「高齢になっても自宅で透析ができる」といった喜びの声が寄せられているのです。
例えば、透析患者が高齢になると病院への通院が困難になるケースが多くなります。そのため、透析クリニックに行けなくなり、最終的には入院を余儀なくされることがしばしばです。しかし、腹膜透析を選ぶことで、患者は自由な生活を維持しながら治療を続けられます。
腹膜透析に関する認知度の向上
腹膜透析に関する認知度は徐々に高まっています。「おうちで透析」に関する各種メディアでは著しい情報発信が行われており、300万インプレッションを超える成果を挙げています。また、公式SNSでは、腹膜透析をすでに行っている患者と、導入を希望している患者との間での意見交換が活発に行われています。
しかし、腹膜透析を知った患者からは「導入したいが、適切なサポートがない」という声も寄せられています。
地域支援の重要性
医療機関で腹膜透析を選びたいと相談しても、医師が経験不足や知識が乏しい場合、血液透析を優先的に勧められてしまうことがあります。これは患者にとって大きな失望となりかねません。医療機関も患者の希望に対したいと願う一方で、地域のクリニックや訪問看護施設が足りないのが実情です。
この問題を解決するためには、地域包括ケアの考え方が不可欠です。医療や介護が必要な状態でも、住み慣れた地域で自分の能力に応じた生活を続けられるようにする仕組みが求められます。
結論:腹膜透析の選択肢を拡大するために
私たち「おうちで透析」は、情報発信を通じて腹膜透析の選択肢を広げ、共感する仲間を増やす活動を進めています。この取り組みは「選びたくても選べない患者をゼロにする」という夢と直結しています。
そのために、訪問看護施設向けの研修や教材の作成に取り組んでおり、将来的には腹膜透析をメニューに加えたいクリニックへのコンサルティングも行う計画です。この努力によって、全国に腹膜透析を支援する施設が広がり、希望する患者が自らの選択に従って治療を選べる社会を実現することが私たちの目標です。
おうちで透析関連リンク
この取り組みは「April Dream」として、企業が持つ夢を実現すべく発信されています。私たちはこの夢を本気で叶えようとしています。