IBMが開設したwatsonx AI Labs
2025年6月、IBMがニューヨーク市に新たなイノベーション拠点、watsonx AI Labsを設けることを発表しました。この施設は、AI開発者をサポートし、大規模なAI導入を加速するための重要な拠点となります。
watsonx AI Labsの目的
watsonx AI Labsの中心的な役割は、IBMのエンタープライズリソースと専門知識を、次世代のAI開発者と結びつけることです。具体的には、ビジネスに革新をもたらすAIアプリケーションの構築を支援することが求められています。
マンハッタンの中心地
このラボはマンハッタンの中心、IBMの新オフィス「One Madison」の内部に位置します。ここでは、IBMの研究者やエンジニアが集まり、エージェント型AIソリューションの創出と進化に挑むことになります。スタートアップや急成長企業、大手企業との連携も進められ、顧客がAIを通じて実際の価値を引き出す手助けが期待されています。
ニューヨーク市のAI産業
watsonx AI Labsは、すでに世界的なAI拠点としての地位を確立しつつあるニューヨーク市のサポートのもとで活動します。Tech:NYCの統計によれば、ニューヨーク市には2,000社以上のAIスタートアップが存在し、AI関連の人材も急増しています。これにより、AI関連企業は2019年以降で270億ドル以上の資金調達を行うなど、地域の経済にも大きな影響を与えています。
Seek AIとの連携
また、IBMは地域のスタートアップエコシステムへの支援として、Seek AIから技術ライセンス提供を受けることを発表しました。Seek AIは、企業データを基にユーザーの代わりに自律的にタスクを実行するAIエージェントを開発しています。これにより、watsonx AI LabsはESD(Enterprise Standards Disruption)を試み、企業がデータから価値を引き出せるAI技術を提供します。
IBMのビジョン
IBMのデータ&AI担当ゼネラル・マネージャー、リティカ・ガンナー氏は、「watsonx AI Labsは一般的な企業の研究所とは異なります。世界トップクラスのエンジニアやリソースにアクセスし、エンタープライズ向けAIの新たなビジネスやアプリケーションを構築することができる」と強調しています。このように、NYCに根ざすことで、世界的な人材とテクノロジーの進化を実現するコミュニティーに投資しています。
Tech:NYCのコメント
Tech:NYCの会長兼CEO、ジュリー・サミュエルズ氏は、「watsonx AI Labsの設立は、ニューヨーク市のイノベーションエコシステムに対する革新的な投資であり、責任ある先進的なAI開発をリードする拠点としての地位を強化するものだ」と述べています。この取り組みは、テクノロジー業界だけでなく、地域社会や経済全体にポジティブな影響を与えると期待されています。
地元との連携
watsonx AI Labsは、ニューヨーク市のテクノロジー基盤を最大限に活用し、地元の人材の確保と育成を目指します。また、地域の大学や研究機関とも連携し、起業家支援の活動も進めていく予定です。これにより、IBMは長期的な投資方針に基づき、IT分野での革新をさらに促進します。
スタートアップ支援
今後5年間にわたり、このラボを通じて成功したスタートアップは、IBMの技術専門家やメンタリングを受けられる他、IBM Venturesからの資金調達の機会も得られることになります。これにより、さらに一歩進んだAIソリューションの開発が可能になります。
Seek AI CEOの展望
Seek AIのCEO、サラ・ナジー氏は、「watsonx AI Labsの基盤の一部を構築することで、私たちのデータエージェント開発の専門性とIBMのエンジニアリング力を結集させ、クライアントのAI課題を解決することができるのを楽しみにしています」と語っています。ニューヨーク市は、生き生きとしたAI人材とイノベーションエコシステムの中心地として、多くのチャンスを提供しているのです。
未来への期待
watsonx AI Labsは、カスタマーサービスやサプライチェーンの最適化、サイバーセキュリティ、責任あるAIガバナンスなど、企業が直面する多様な課題を解決するために、特化型AIソリューションを共同開発することに注力します。その成果は、今後のビジネスシーンに大きな影響を与えることでしょう。