免疫療法の挑戦
2021-05-21 14:12:37

新たな肺がん免疫療法の確立を目指す昭和大学の挑戦

新たな肺がん免疫療法の確立を目指す昭和大学の挑戦



肺がんは、依然として高い死亡率を誇る難治性の疾患です。1998年には胃がんを抜いてその死亡者数が最も多く、2018年には約7万4300人がこの病気により命を落としています。その内訳は、男性が約5万2400人、女性が約2万1900人となり、特に男性においては死因として第1位となっています。これまでの抗がん剤治療では、進行がんに対して一時的な抑制ができても、根本的な治癒が難しいのが現状です。

近年、がん免疫療法の中でも特に注目を集める「免疫チェックポイント阻害剤」の登場により、肺がん患者さんの生存率が向上しています。しかし、どの患者にこの治療法が有効か、さらなる研究が求められているのが実情です。中でも、特定の患者において「カンガルーテール現象」と呼ばれる、長期にわたる治療効果が見受けられることも報告されています。

新たな治療法の探索



昭和大学は、未治療の進行非小細胞肺がんを抱える患者のために、ネシツムマブとペムブロリズマブという二つの抗体薬を組み合わせた治療法の医師主導治験を開始します。この治療法では、がん細胞周辺の免疫環境を改善し、患者自身の免疫力を活用してがんの治療を目指しています。特にPD-L1が高発現する患者が対象となるため、より高い効果が期待されますが、すべての患者に効果が現れるわけではないため、さらなる解析と研究が必要です。

今回の治験においては、患者から提供された血液、便、がん組織を用いて免疫学的機能解析を行い、バイオマーカーを探索していきます。腸内細菌の状態も調査し、免疫チェックポイント阻害剤の治療効果にどのように関連しているかを明らかにすることで、新たな治療の可能性を広げていくことが期待されています。

治験の体制と協力病院



昭和大学を中心に、全国の複数の医療機関と連携した治験体制が構築されています。具体的には、弘前大学、東北大学、福島県立医科大学、東京都立駒込病院など11の病院の専門医とともに、全国規模での治験が行われます。

治験を実施するにあたり、医師主導治験は企業が行うものとは異なり、患者数が少ない分野での研究や、新しい治療法の探索に欠かせないものです。しかし、そうした取り組みは人的資源や経済的な負担が大きく、十分な研究を実施できないことも多々あります。

クラウドファンディングへの挑戦



そこで昭和大学は、クラウドファンディングを通じて必要な資金の確保を目指します。この取り組みを通じて研究の透明性と関心を高め、多くの人々の理解と支持を得たいと考えています。新たな免疫療法が肺がん患者に新たな希望をもたらすことを願って、クラウドファンディングに参加することができます。

詳細については昭和大学の公式サイトをご覧ください。


この治験が成功すれば、免疫療法に新たな一歩をもたらし、肺がん患者にとって貴重な治療オプションとなることでしょう。

会社情報

会社名
学校法人昭和大学
住所
東京都品川区旗の台1-5-8
電話番号
03-3784-8000

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