海のバリアフリー
2025-10-24 10:06:20
視覚障がい者の挑戦をサポートする新たな海の技術とは
先端技術によって広がるセーリングの楽しみ
阪南大学の末田航教授が手掛ける新たな操船支援システムは、視覚障がい者がヨットを自力で操縦出来るようにする革新的な技術です。このプロジェクトは視覚に依存せず、風や波の変化を感知するための『聴覚による感覚代行技術』を駆使しています。これにより、視覚障がい者も安全に海を楽しむことができる環境を提供し、ひいてはダイバーシティとインクルージョンの社会実現を目指しています。
セーリングの魅力と課題
セーリングは風や波の動きを読み取る感覚的なスポーツですが、この特性から視覚障がい者には操船の困難さが伴います。そこで末田教授は、障がいのある方々にも『風を感じる』という体験をより安全に提供する方法を模索し、センサー技術と音声、触覚によるフィードバックを組み合わせました。これにより、視覚に頼らない新しい操船方法が可能になりました。
自動操舵システム『RoboHansa』の実績
2025年6月には改良型ハンザ2.3型ディンギー『RoboHansa』を使用して、酒田港から飛島までの33.6kmの航路を成功裏に航海しました。AIに基づく操縦がセーラーの意図を読み取ることで、手動操作をサポートし、安全かつ効率的な航海が実現。大波や強風でも安定した操舵が可能であり、視覚障がい者向けの音声ナビゲーションがセール操作を補助するなど、複数の成果を挙げています。
この航海では最大風速13m/sという厳しい条件下で、7時間をかけて平均速度4.7km/hで航海を完遂しました。この成果は、ハンザ2.3型として単独での長距離航海を達成した初の試みとされています。
未来への展望
2025年11月には伊勢市で開催される『全国ハンザクラスブラインドセーリング大会2025』で、感覚代行デバイス『SoundTellTale』を活用した実践的な操船の支援を行う予定です。この大会では、視覚障がい者と健常者が同じ場所でセーリングを楽しむことができるインクルーシブな競技環境が整備されることを目指しています。
また、教育現場や他のパラスポーツへの応用も視野に入れ、さらなる幅広い展開を模索しています。
この研究は、技術が『移動の自由』や『スポーツを楽しむ自由』を支えるだけでなく、教育や福祉、スポーツの各分野における新たな包摂的デザインの可能性を示す重要な取り組みとして注目されています。
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