インプレゾンビ、その流行の影に地震が?
2023年末から2024年6月にかけて、ネット上で大きな話題となった「インプレゾンビ」。PR効果測定サービス「Qlipper」が行った調査によると、インプレゾンビに関するニュース記事は、2024年上半期に急増。単なるネット流行語ではなく、社会的な問題として認識され始めたことが明らかになった。
調査では、インプレゾンビに関する記事が、2023年12月には全く存在しなかったのに対し、2024年1月には能登半島地震の直後に急増したことが判明。被災者のSOSや災害情報の拡散を妨げる有害な存在として、インプレゾンビの存在が注目された。
その後、3月にはフリー素材提供サイト「いらすとや」にインプレゾンビのイラストが登場したり、卒業アルバムにインプレゾンビが発生したというSNS投稿が話題になるなど、インプレゾンビの存在が日常に定着したことを示すニュースが増加。
4月には、台湾で発生した地震がインプレゾンビに関する記事増加の大きな要因となった。メディアは再びインプレゾンビの有害性を指摘する記事を多く掲載し、話題が再燃した。
インプレゾンビ、SNSでの拡散が加速
インプレゾンビに関する記事は、単に数が多いだけでなく、SNSでの拡散も活発に行われていた。調査によると、仮想PV数(Qlipperが独自のエンジンで算出した記事のページビュー数)が最も高かったのは、『ITmedia NEWS』の記事を転載した『Yahoo!トピックス』。
記事の内容は、X(旧Twitter)上で意図せず青バッジが付いたという報告が相次いだこと。青バッジはインプレゾンビを想起させるため、多くのユーザーが懸念を抱いているというものであった。
また、Xで最も多くポストされたのは、『AdverTimes』に掲載されたコピーライター・メディアコンサルタントの境治さんのコラム。コラムでは、新聞・雑誌のデジタル媒体におけるネット広告の質の低下を憂い、その原因としてインプレゾンビの存在を指摘している。
インプレゾンビ、社会問題として認識される
インプレゾンビに関するニュースのトレンドワードランキングを分析すると、3月までは能登半島地震の影響が大きく、関連するワードが上位にランクイン。特に1月は、インプレゾンビが被災者のSOS発見を妨害していると問題視されていた。
4月には、台湾での大規模地震の関連ワードがランクイン。さらに、インプレゾンビが生息しないSNSとしてBlueskyやThreadsが紹介される記事が増加し、関連ワードもランクインしている。
5月には、「ナイジェリア」「Ken chan」というワードがランクイン。これは、インプレゾンビから人間に戻った人として、ナイジェリア人男性が話題になった結果。ネットニュースだけでなく、『NHK NEWS WEB』などテレビでも取り上げられ、大きな注目を集めた。
インプレゾンビは、地震やSNSを通じて急速に社会問題として認識されるようになったと言える。今後もインプレゾンビに関する議論は活発化していくことが予想される。