脱炭素化支援機構が進めるアトランティックサーモン陸上養殖事業
最近、脱炭素化支援機構(Japan Green Investment Corp. for Carbon Neutrality)が、三重県津市におけるアトランティックサーモンの陸上養殖事業を手がける8F Aquaculture Fund JapanⅠ LPに出資する決定を下しました。これは、持続可能な水産資源の確保と温室効果ガス(GHG)削減につながるプロジェクトであり、大きな注目を集めています。
投資の概要
今回のファンドは、8F Aquaculture Fund JapanⅠ LPと名付けられ、運営期間は最長8年に設定されています。出資先には、三重県津市に設立されたアトランティックサーモンの閉鎖循環式陸上養殖施設を有する合同会社が含まれています。この事業は、ソウルオブジャパン株式会社が運営しており、年間1万トンのサーモンを生産・販売する計画です。
傾注している養殖方法は、Recirculating Aquaculture System(RAS)と呼ばれるもので、水を循環させる仕組みを採用しています。これにより、環境への負荷を最小限に抑えつつ、魚を養殖することができるのです。淡水を使用し、廃棄物を適切に処理することで、水質を保持することができます。
環境への影響
このプロジェクトが成功すれば、日本におけるアトランティックサーモンの自給率が向上すると期待されています。国内の養殖業が発展することで、輸入に頼っていたアトランティックサーモンが減少し、結果的にGHG排出量が削減されるのです。特に空輸部分が減少するため、運搬に伴う環境負荷を大幅に軽減できるでしょう。
さらに、太陽光発電の導入や製造システムの効率化によって、事業全体のGHG排出量削減に取り組む方針も示されています。これにより、持続可能な水産業の発展が図られます。
経済への寄与
アトランティックサーモンの養殖事業は、日本の食料自給率の向上に貢献するだけでなく、地域経済の活性化にも寄与します。三重県津市との立地協定により、地元住民の雇用創出が期待され、多くの人々がこのプロジェクトの恩恵を受けることになるでしょう。また、養殖されたサーモンは三重県のPR商品として利用され、地域の魅力向上にもつながる見込みです。
さらに、サステナブルな水産資源の供給の観点から、天然アトランティックサーモンの減少とされる準絶滅危惧種問題にも対処する取り組みです。適切な養殖環境を提供することにより、今後の水産資源の持続可能な利用が実現します。
まとめ
脱炭素化支援機構は、社の理念に基づき、さまざまなステークホルダーとの連携を深めつつ、持続可能な未来づくりに寄与する事業を進めています。このアトランティックサーモンの陸上養殖事業においても、水産資源の保護や地域経済の活性化、GHG削減など、多面的な効果が期待されます。これらの取り組みは、地域社会だけでなく、地球規模の環境問題にも寄与することでしょう。