三菱重工グループは、2015年からNPO法人アースウォッチ・ジャパンと協力し、アカウミガメ保全調査を行っています。これは、鹿児島県種子島を第二の産卵地として、絶滅が危惧されるアカウミガメの生態を解明するために実施されています。調査の目的は、アカウミガメが過去に産卵のために種子島を訪れた回帰性、体の大きさ、産卵成功率などを明らかにし、個体の保護と産卵地の環境を健全に保つことです。
これまでの成果として、2015年度からの調査で識別したアカウミガメは230頭に上り、データが蓄積されています。本年度も新型コロナウイルス禍を乗り越え、社員を含む48名のボランティアが参加しました。調査は6月下旬の8日間にわたり、長浜海岸北部の4エリアに分けて実施され、33頭の親ガメを確認し、計22回の産卵が報告されました。今年の調査では7頭の回帰個体が確認され、産卵に向けて再訪したことが記録されています。
一方で、アカウミガメが種子島に上陸する個体数は年々低下傾向にあり、国内の他の産卵地とも同様の傾向が見られます。過去10年間のデータから、種子島で産卵するアカウミガメの回帰率は20~30%程度であり、他の産卵地との交流が少ないことも明らかになっています。
プロジェクトの主任研究者である日本ウミガメ協議会の松沢慶将会長は「過去のデータを基に、信頼性の高い生残率を推定し、漁業による混獲死対策を進めていく」と述べています。さらに、種子島のデータは日本全体の傾向を把握するためや、海外の同様の調査結果と比較する際にも貴重であるとしています。
三菱重工グループは2023年4月に「生物多様性宣言」を策定し、事業運営において生物多様性や自然資本の保全に向けた取り組みを強化しています。この調査活動を通じて、産卵地の保護と持続可能な社会の実現に寄与することを目指しています。
アカウミガメの生態や保護活動に興味がある方は、ぜひ本調査の関連リソースもチェックしてみてください。調査結果や保全活動がどのように進められているのか、より深く知る良い機会になるでしょう。