恵寿総合病院が生成AIを導入し業務を効率化
近年、日本の医療現場では高齢化や人口減少に伴い、人手不足が問題視されています。特に地方の医療機関では看護師の業務負担が増しており、その解消が急務とされています。そんな中、石川県七尾市にある恵寿総合病院は、課題解決に向けて生成AIを活用した新たなアプローチを導入し、その成果を発表しました。
業務効率化への取り組み
恵寿総合病院は、医療DXを推進する地域医療支援病院として、院内業務の効率化に目を向けました。特に看護師の負担軽減を目的に、Ubie株式会社が開発した「ユビーメディカルナビ 生成AI」を導入しました。このサービスは、文章生成や音声認識、画像認識など多機能を備え、看護師の退院時看護サマリや医師向け紹介状の作成に寄与します。
実証実験が行われ、医療チームの15人が参加参加。従来の手作業による退院時サマリ作成に比べ、生成AIを活用することで作成時間が大幅に短縮され、その結果は以下の通りです。
- - 退院時サマリ作成時間: 従来の平均12分20秒が、生成AI使用群では7分5秒まで短縮。
- - 心理的負担の度合い: 生成AI無しの群での平均は3.7だったのに対し、生成AI有りの群では2.7となり、27.2%の減少が見られました。
この結果から、生成AIが看護業務の効率化に大きく寄与していることが明らかとなりました。
医師や看護師の声
恵寿総合病院では、生成AIの導入に対し多くの医療従事者が肯定的な反応を示しています。副看護部長の山本氏は、「生成AIの利用により、看護サマリの作成時間を大幅に短縮し、患者との対話により多くの時間を確保できるようになった」と語りました。さらに、主任看護師の戸田氏も、「看護サマリの入力時間が軽減され、心理的な負担感も減少している」ことから、業務の効率化が進んでいることを実感しています。
医療の未来に向けた期待
恵寿総合病院の理事長補佐である神野氏は、今後の医療現場において、生成AIの導入による業務効率化が不可欠であると述べました。また、「今後も生成AIの活用を進めることで、医療従事者が患者に寄り添える時間が増え、質の高い医療が提供できるようになることを期待している」と語っています。
Ubie Hospital Summit 2024の開催
また、Ubie株式会社は「Ubie Hospital Summit 2024」を2024年10月9日に開催することを発表しています。本テーマは「生成AIで変わる病院経営の未来」で、病院経営者や医療従事者を対象にしたカンファレンスです。
まとめ
恵寿総合病院の取り組みは、生成AIの導入が医療現場における業務効率化と質の向上をもたらすことを示しています。低下した心理的負担と短縮された業務時間が、今後の看護業務へどのように影響を与えていくのか、引き続き注目が集まります。