2024年8月31日、テレビ大阪で放送されるドキュメンタリー「犯罪と贖罪~賠償しない加害者たち~」では、犯罪被害者遺族の抱える経済的困難について深く掘り下げられます。近年、犯罪の被害に遭った家族の方々が直面する問題が浮き彫りになっており、その実情を知ることは、私たちの社会にとって重要です。
このドキュメンタリーの焦点は、加害者による賠償金が支払われない現状です。特に日本においては、殺人事件の場合、実際に賠償金が支払われる割合がたったの13.3%。傷害致死事件でもその割合は16.0%に過ぎません。これは、加害者が法律の隙間を利用して逃げる一方で、遺族が経済的に困窮するという悲しい現実を反映しています。
兵庫県の高松由美子さんが、長男を集団リンチによって失った悲劇の中で、遺族として何ができるのかを模索しました。加害者は少年法によって保護され、法律に則った賠償金の支払いは叶わなかったため、彼女は声を上げる決意をしました。そして、2000年に全国犯罪被害者の会「あすの会」を結成し、同じような境遇の遺族たちと共に活動を続けてきました。
しかし、遺族たちの控えめな声が国に届くまでには長い道のりがあり、彼らは諦めることなく権利の確立を目指してきました。2000年からの活動によって、犯罪被害者等基本法が成立し、遺族の意見が刑事裁判に反映されるようになったことは評価されますが、依然として未解決な問題が残っています。特に経済的困難という側面は見過ごされがちであり、遺族たちは悲嘆にくれながらも立ち上がっています。
最近では、あすの会が2022年に再結成され、2024年の7月には東京でシンポジウムを開催しました。このシンポジウムでは、遺族は政府に対し、加害者に支払わせることができなかった賠償金を国が立て替え、さらに犯罪被害者関連の施策を一元的に管理する「犯罪被害者庁」の設立を求めました。これは、加害者の逃げ得を許さないための重要な一歩です。
このドキュメンタリーでは、遺族たちの切実な思いと、それがどのように国家の制度に影響を与えるかが描かれます。加害者によって傷つけられた家族の苦悩は、私たち全員にとっての問題であり、彼らの声を無視することはできません。政府は果たして遺族の声に耳を傾け、この問題に向き合うことができるのでしょうか。私たち市民もまた、この問題を理解し、解決に向け繁栄する社会を築くために何ができるかを考えなければなりません。
このシリーズの第18回放送は、きっと多くの人々に響くことでしょう。遺族たちの声を広め、より良い未来のために行動を起こすための重要な機会です。放送は8月31日(土)午前11時からです。
詳細は、テレ大阪の公式サイトで確認してください。