水田の中干し延長が生物多様性に与える影響を可視化した新しい試み
水田の中干し延長が生物多様性に与える影響
水田の中干し期間延長に関する新たな取り組みが注目されています。大阪ガス株式会社は、温室効果ガスの一種であるメタンの排出削減を目的に、水田の中干し期間を延長することがもたらす生物多様性に対する影響を調査し、その結果を可視化しました。この研究は、単にメタンの減少だけでなく、生物多様性の保全についても考慮する必要性を示唆しています。
水田中干しとは
中干しとは、水稲の栽培期間中に水田の水を抜き、田面を乾かす作業のことです。これにより、稲の成長を制御し、過剰な茎の分げつを防ぎます。特に、メタン排出量の削減が期待できるため、近年ではその期間を延長することが注目されています。今回の研究では、この中干しの延長がどのように生態系に影響を与えるかが調査されました。
調査の背景
水田中干しの期間延長は、2023年に日本のJ-クレジット制度において承認され、実施されています。この制度は、メタン排出量を削減するための方法論として認められており、今後、J-クレジットの発行量が全体の約3~4割にまで増加する見込みです。しかし、この取り組みは「中干し期間を延長することで生態系に影響があるのではないか」という懸念も呼んでいます。したがって、生物多様性への影響を科学的に評価し、必要な対策を講じることが重要です。
環境DNAを利用した調査
今回の生物多様性への影響調査では、Green Carbonが管理する複数の水田が対象となり、実施前と中干し延長後の水を採取して、環境DNAを分析しました。これにより、トンボやカエルなどの生物の遺伝子情報を調査し、どのような影響が出ているかを評価しました。生物種の比較が可能となることで、生態系の変化や多様性への影響を具体的に把握できるようになります。
今後の展望
2026年春には、この調査結果を基にした水田J-クレジットが発行される予定です。このクレジットは環境価値を可視化することにより、顧客が安心して取引できる基盤を提供します。大阪ガスは、今後も調査範囲を拡大し、より詳細なデータを提供する方針であり、生物多様性への配慮を基盤とした持続可能な水田環境の維持に努めることを目指します。
企業の取り組み
Daigasグループは、2050年のエネルギートランジションを掲げ、脱炭素社会に向けた新たな技術やサービスの開発に取り組んでいます。気候変動とそれに伴う社会課題解決への貢献を目指し、未来の暮らしとビジネスの進化に向けて邁進しています。このような取り組みが、生物多様性と持続可能性を両立させる新たなモデルとなることでしょう。
会社情報
- 会社名
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Daigasグループ
- 住所
- 大阪府大阪市中央区平野町4丁目1番2号
- 電話番号
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