BACの不活化メカニズム
2025-06-18 11:55:23

花王と山形大学、BACのウイルス不活化メカニズムを解明

花王が明かす、BACの驚くべきウイルス不活化メカニズム



花王株式会社のバイオ・マテリアルサイエンス研究所は、山形大学の野々村美宗教授と共同で、界面活性剤「塩化アルキルベンザルコニウム(BAC)」のエンベロープウイルスに対する不活化メカニズムに関する重要な研究成果を発表しました。この研究は、2025年3月28日にNature Researchの電子ジャーナル『Scientific Reports』に掲載される予定で、衛生製品におけるBACの適正使用と環境負荷の低減に寄与することが期待されています。

BACとはどんな物質か?



BACはエタノールを用いずに効果的な殺菌・ウイルス不活化を実現する界面活性剤です。現在、世界中でさまざまな消毒剤や衛生製品に利用されています。その一方で、エンベロープウイルスに対するBACの作用メカニズムについては、これまでのところ十分な解明がされておらず、研究機関の間でもその効果に関する報告が様々でした。

研究の詳細



今回の研究では、花王の生物学および化学の研究者が力を合わせてBACのエンベロープウイルスに対する作用を詳細に検討しました。研究の結果、重要な発見が得られました。BACの水溶液中で特定の濃度に達する前後、つまり「臨界ミセル濃度(CMC)」の変化によってウイルスへの作用が著しく変化することが判明したのです。特に、CMCを超えた濃度ではウイルスが完全に崩壊し、不活化効果が急激に高まることがわかりました。これらの知見はBACの使用条件の設定の指針となり、製品設計やウイルス不活化試験の条件設定において非常に重要な情報となります。

現在の社会への影響



新型コロナウイルスの影響で、BACの使用量は急増しています。これに伴って、人や環境への影響に関する議論も活発化しています。そんな中、花王は「Maximum with Minimum」というサステナブルな商品開発方針を掲げており、社会や生活への負荷を最低限に抑えながら、最大の価値を得ることを目指しています。この研究の成果を通じて、世界中の衛生製品におけるBACの適正使用が促進され、環境負荷を低減することが期待されています。

未来の展望



花王と山形大学の共同研究を通じて得られた知見は、今後の製品開発やウイルス不活化に関する研究において、多くの可能性を秘めています。この研究成果が実を結び、衛生的で持続可能な社会の実現に向けて貢献することを願ってやみません。私たちの健康と環境を守る上で、BACの正しい使用が求められています。今後の展開から目が離せません。

今回の研究成果は、BACが世界中の衛生製品でどのように活用されるべきか、その裏にある科学的根拠を示しました。これにより、より安全で環境に配慮した製品の開発が進むことが期待されます。

この成果は、BACの適正使用のための基盤に立つもので、社会全体への良い影響を与えることを目指しています。


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会社情報

会社名
花王株式会社
住所
東京都中央区日本橋茅場町1-14-10
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