日本企業の生物多様性への取り組み、2023年度調査結果
経団連と経団連自然保護協議会は、「企業の生物多様性への取り組みに関するアンケート調査概要<2023年度調査>」を発表しました。これは、2022年度の調査結果を踏まえて日本企業全体がどれほど生物多様性を意識し、具体的な取り組みを進めているかを明らかにするためのものです。
調査の背景と目的
生物多様性条約の愛知目標採択後の2011年から、経団連は毎年生物多様性の保全状況を調べるアンケートを実施してきました。コロナ禍の2020年度と2021年度は除外されましたが、今年も2023年度の調査を行い、企業の取り組み状況を把握し、その情報を国内外に発信することを目指しています。
ネイチャーポジティブ経営の普及に向けた法制度の整備や施策の充実が進む中、今回の調査は前回と整合性を持たせた形式で、新たな課題や解決策についても情報収集を行いました。結果として、企業による生物多様性への取り組みが着実に改善されていることが判明しました。
調査結果の主なポイント
以下に、2023年度の調査結果に関する概要を示します。
1.
生物多様性の主流化
2022年度調査と比較して、より多くの企業が生物多様性を経営に取り入れています。新たな認知度の向上や推進体制の確立が見られました。
2.
GBFへの貢献
各社の取り組みが多様化し、質的にも充実していることが指摘されました。具体的には、昆明・モントリオール生物多様性枠組への貢献が強調されています。
3.
TNFDへの対応
企業の大幅な増加があったことから、自然関連のリスクや機会の特定が進んでいます。特に、経営面で生物多様性への配慮が重要視されつつあることが分かりました。
4.
技術面の課題
企業が進める取り組みの中で、技術面での課題が浮き彫りになってきています。生物多様性を考慮した戦略の中で解決が求められるポイントも見えてきました。
今後の展望と課題
アンケートでは、生物多様性に関する取り組みを進める上での課題や理由も浮き彫りになりました。例えば、生物多様性と気候変動との関連性を考慮する必要性が高まっています。
各社が生物多様性を大切にする経営方針を取り入れていく中で、引き続き情報の開示や目標設定が求められます。特に、生物多様性に配慮した製品やサービスの提供、価値連鎖の上流・下流での取り組みが進む道筋をつけることが大切です。
この調査結果は、日本企業が持続可能な社会を構築するための基盤となるでしょう。今後も生物多様性の保全に向けた取り組みを国際的に発信し、地域社会にも貢献していくことが期待されます。