海洋環境保全の新提案
2023-03-09 10:00:01

海洋環境を守るためのプラスチック対策、新たな報告書が発表される

海洋環境保全の新たな展望



最近、エコノミスト・インパクトと日本財団が共同で、新たな報告書「ピーク・プラスチック: 消費曲線を曲げる」を発表しました。この報告書は、プラスチック消費のピークを達成するための政策を分析し、今後の展開に注目しています。

昨年、多くの国々がプラスチック汚染を解決するための国際条約制定に合意しました。その内容は、プラスチック製品の使用を制限し、各国が協力して対策を講じるというものです。2024年末までにはこの条約が発効する見込みです。

報告書では、プラスチック消費を抑えるための具体的な政策を三つ提案しています。それは、使い捨てプラスチック製品の禁止、拡大生産者責任(EPR)の導入、バージン樹脂の生産者に対する課税です。しかし、調査の結果、いずれの政策も単独での効果は乏しく、現在のまま進めば、2050年にはプラスチック消費がほぼ倍増するとの予測が示されました。

専門家は、これらの政策が組み合わされて初めて効果を発揮する可能性があると指摘しています。すなわち、より大胆な行動が求められるのです。報告書によれば、使い捨てプラスチックの全面的な禁止は、調査対象国でのプラスチック消費に対し最も効果的であるものの、2050年には消費が1.48倍に留まるとされています。

一方、拡大生産者責任(EPR)制度の影響はそれほど大きくなく、導入されてもプラスチック消費が1.66倍になる程度の効果しか期待できないとのことです。また、バージンプラスチックへの課税に関しても消費量を1.57倍に増加させるだけで、十分な抑制効果は見込めないとの分析がなされています。

報告書は、これらの提案を組み合わせた場合でも消費量は2019年時点の1.25倍に抑えられるに過ぎず、“ピーク・プラスチック”の実現が困難であることを強調しています。今後の事業者や政策立案者には、より積極的な取り組みが期待されるのです。

このような背景を踏まえ、エコノミスト・インパクトの編集主幹、チャールズ・ゴッダード氏は、国際的な交渉において野心的な目標を維持し、建設的な議論が進む必要があると語っています。これまでプラスチックの使用削減に向けたコミットメントは曖昧で、実行力に欠けることが多かったためです。

日本財団の会長、笹川陽平氏は、「Back to Blue」プロジェクトがプラスチック汚染の解決策を提供する重要なステップであると述べています。プラスチック汚染は国境を越えた問題であり、世界的な協力が不可欠だと強調しています。

「Back to Blue」は、海洋環境を守るためのイニシアチブとして2030年までにさまざまな研究と取り組みを行っており、これにより海洋の健康を保つための道筋を示すことを目的としています。

この報告書により、海洋環境を保護するための具体的な政策が議論されていることが明るみに出てきました。しかし、真の変化をもたらすためには、国際社会全体での協力と、より大胆な行動が求められていることに注意が必要です。今後も、この重要な問題への注目が集まることが期待されます。

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