海上輸送の突破口:液化CO₂輸送船の設計承認
2050年に向けた脱炭素社会の実現に向けて、液化CO₂の海上輸送は重要な課題として浮上しています。この度、株式会社商船三井をはじめとした日本の主要海運会社による低圧液化CO₂輸送船の基本設計承認(AiP)が取得され、国際的な液化CO₂の海上輸送が現実味を帯びてきました。
AiPの授与は、2024年にアメリカ・ヒューストンで開催された国際会議「ガステック2024」において行われ、これにより、低圧仕様の5万m3級と2万3,000m3級の液化CO₂輸送船が承認されました。この船は、CO₂を定量的に効率よく輸送できる新たな技術に基づいて設計されています。
CCS事業を支える液化CO₂輸送船の必要性
この新型船の開発は、日本政府が推進するCO₂キャプチャーとストレージ(CCS)事業において、国内で回収したCO₂を貯留するための確実な手段となることが期待されています。CCSプロジェクトが進められる中、今後の液化CO₂輸送船の需要には大きな期待が寄せられています。この需要を少しでも早く満たすために、各社は早期の市場投入を目指して迅速に取り組んでいるのです。
新たな技術と設計の要点
今回承認されたLCO₂輸送船は、その革新的な設計により、従来のニッケル鋼に代わる新しい鋼材の適用を想定しています。また、溶接後熱処理(PWHT)という工程の省略が可能となることを目指しており、これが製造工程全体の効率化に寄与することが期待されています。
商船三井グループは、あらゆる社会インフラ事業を展開しており、環境保全への取り組みも積極的です。この事業は、「商船三井グループ 環境ビジョン2.2」において掲げられている、低炭素事業の拡大という目標にも沿ったジレンマに挑戦するものです。
日本国内での推進と国際的な影響
国内では、川崎汽船、日本郵船、三井物産、三菱商事などの主要な企業が協力し、CCSバリューチェーンの実現に向けた共同の取組みが進められています。これにより、安定的な液化CO₂輸送船の建造・供給体制が整うことが期待され、経済性向上にも寄与する見込みです。
新たな技術を基にしたこのLCO₂輸送船は、今後の国際間の液化CO₂海上輸送において重要な役割を果たすことでしょう。これからも、この分野の進展に注目し、持続可能な社会に向けた進展を支える取り組みを応援したいものです。
商船三井グループの公式ウェブサイトでは、今後の技術や事業についてさらなる情報が提供される予定です。