新開発の高濃度コラーゲンバイオインク
株式会社ニッピが新たに開発した高濃度コラーゲンバイオインクは、3Dバイオプリンティング分野で革命を起こす可能性があります。このインクは、医学や創薬研究において重要な役割を果たすと期待されています。
バイオプリンティングの背景
近年、3Dバイオプリンティング技術は、複雑な生体組織や臓器を再現する手段として医学や創薬の分野で注目です。特にコラーゲンを基にしたバイオインクは、その優れた生体適合性から医療マテリアルとしての評価が高い一方で、従来のインクには形状維持や造形時の温度管理の課題が存在していました。
新たなインクの技術的特徴
ニッピが開発したコラーゲンバイオインクは、従来品(濃度1〜7%)を大きく上回る10%以上の高濃度を実現。これにより、従来の細径ノズル(内径0.2mm)での安定した造形が可能になりました。この高濃度化によって、プリントする際の滲みや積層の潰れを抑制できるため、より高精細な三次元構造の作成が実現します。また、室温での造形が可能になるため、温度管理の複雑さを解消しています。さらに、特許登録されたこの技術は、他社にはない革新的なものと言えるでしょう。
医療への応用
この高濃度コラーゲンバイオインクは、整形外科、口腔外科、外科領域での複雑な三次元組織モデルの構築に貢献することが期待されています。また、再生医療や創薬研究においても、新たな医療用素材の開発を進める上で重要な役割を果たすでしょう。
具体的な造形成果
実際に3Dプリントされたヒト組織様の構造物の例を挙げると、半月板や大腿骨、鼻、耳などのリアルな構造を再現することができ、各部位は高精細に造形されています。さらには、細胞を含む3D構造体の造形にも成功し、約1週間後でもその形状が保持されることが確認されました。これにより、細胞も生存し、局在していることが示されています。
製品の特徴と展望
本製品は、医療や再生医療、創薬研究をはじめとした多様な用途に応用可能です。特に、以下の強みがあります:
- - 高濃度: インクの濃度が高いため、剛性が向上し、積層時のトラブルを減少させます。
- - 高精細: 細径ノズルを用いた造形で、微細かつ複雑な形状も高解像度で作成可能です。
- - 操作性の向上: 温度管理が不要で、手軽に扱えることが大きなメリットです。
この新しいコラーゲンバイオインクは、2025年内に発売予定で、医療分野の未来に向けた革新的な開発が進むことが期待されています。今後もニッピは、この技術を通じて医学や創薬研究に貢献していく所存です。
お問い合わせ先
製品に関する問い合わせは、株式会社ニッピバイオ・ケミカル事業部までご連絡ください。