インリーエナジー再建計画の詳細
インリーエナジー(中国)カンパニーリミテッドは、太陽光パネルの製造を行う企業として、近年の厳しい経済状況を克服するための再建計画が正式に承認されました。この再建の目的は、適切な資産管理と負債の最適化を通じて、企業の収益性を回復し、持続可能な成長を目指すことです。
再建の背景
インリーエナジーは、セルやウエハ、インゴットポリシリコン原料の自社生産を行い、垂直統合戦略を採ってきました。その結果、全世界で25GW以上、日本においては2.5GW以上のパネルを出荷し、2012年から2013年には年間の出荷量で世界第1位に輝いた実績があります。しかし、巨額の投資を行ったポリシリコン原料工場が稼働を始めると、国際市場でのシリコン原料価格の下落に直面。投資回収が難しくなり、2015年には債務超過に陥りました。
このような厳しい状況の中、2020年9月、インリーは他の5つの事業体と共に第1回債権者会議を開催し、再建計画案の投票を行いました。結果は、従業員債権者、初期投資家、担保付債権者、通常債権者のすべてが90%以上の賛成を示し、法的基準をクリアしました。これを受けて、インリーは2020年10月19日に地方裁判所である人民法院に計画の承認を申請しました。
再建計画の主な内容
インリーの再建計画には、以下の主な実施内容が含まれています:
- - 6つの事業体の金融債務の大部分を事業体の持分へ転換する。
- - 一部の金融債務およびその他の債務を完全かつ秩序正しく返済する。
- - 第三者のプラットフォームを活用して資金注入を行う。
- - 合弁の持株会社を介して債権者の権利を株式に転換し、国営持株会社を通じて保定市政府が新しいインリーの株主となる。
- - 保定市政府は、国営持株会社を介して資本規模約300億円の資金を新会社に注入する契約を結びました。
- - 法院の判決に基づき、株式保有の変更および工場移転の準備を始めます。
今後の展望
新しいインリーエナジーは、元の製造事業の生産能力や技術、ブランド、販売チャネルを維持しつつ、顧客への受注と保証の約束を進めていきます。さらに、国家研究プラットフォームを基に独自の技術を開発し、N型TOPCon技術やHJT技術の進展を図り、国際的な競争力を確保するとしています。
将来的には、5GWの高効率セル生産能力と2GWの高出力モジュール生産能力の確立を目指し、天津港の利点を活かして、3GWの生産能力を計画しています。また、経営陣は現状のまま会社運営を続け、「国家技術標準革新基地(PV)」の設立を進めることで、業界内での地位を一層強化していく方針です。
会社概要
インリー・グリーンエナジージャパン株式会社は、2012年に設立され東京都千代田区丸の内に本社があります。資本金は1億円で、代表者は山本譲司氏です。この再建計画を通じて、インリーは安定した運営や市場シェアの拡大、新しい技術の開発を進めながら、太陽光発電業界のリーダーとしての地位を確立していくことでしょう。