障害者雇用の課題を分析、LITALICOの調査が示す定着の鍵とは

はじめに

最近、株式会社LITALICOが実施した調査が、障害者雇用の問題とその解決策について新たな視座を提供しています。この調査では、全国の51の就労移行支援事業所を対象に、障害のある方々の就職後の定着に関する実態を明らかにしました。従来の企業の障害者雇用に対する意識は主に「雇用の入口」に集中していましたが、この調査を通じて、その後の支援がいかに重要かを再認識させられます。

離職の要因は人間関係とメンタルの問題

調査の結果、支援員が認識している就職後の主な離職理由として「人間関係」が68.6％、「体調・メンタル不調」が60.8％に達していることが分かりました。企業は「仕事の創出」や「ノウハウ不足」といった採用時の課題を重視する傾向がありますが、就職後の定着には外部の専門的な支援が必要であるとの認識は広がっています。

企業と支援機関の連携がカギ

興味深いことに、企業側では採用後も「社外の専門家による支援」が必要と考えている企業が多く、実際に連携している企業の割合はまだ低いものの、連携によって職場の定着率が大幅に改善される可能性が示唆されています。具体的には、就労支援機関と連携した場合の職場定着率は89.3％に上り、連携しない場合は72.7％であることが多くの調査から明らかになっています。

伴走支援が定着率を向上させる

LITALICO仕事ナビの調査によると、就労移行支援事業所は効果的な企業とのマッチングを実現するために、「本人の希望整理支援」や「面談」など、就職前の取り組みが重要視されています。また、就職後も定期的な面談を通じて離職原因を早期に把握することが、働く人と企業双方に安心して働ける環境を作る要因となっています。

持続可能な社会を目指して

この調査結果は、働く人、企業、外部支援機関が密に連携することが障害者雇用の定着を支える重要な要素であることを示しています。LITALICOは「障害のない社会をつくる」というビジョンのもと、引き続き職場環境の改善に向けた情報発信を行い、企業や働く人々と共に行動を起こしていく意向を示しています。これにより、より多くの人々が安心して働ける環境が整備され、多様な人材が活躍する社会の実現が進むことが期待されます。