確定拠出年金の活用実態
マネーフォワードホーム株式会社が実施した調査によると、同社の提供するお金の見える化サービス『マネーフォワード ME』のユーザーは、確定拠出年金制度を積極的に活用しています。調査は、個々のユーザーの家計簿データを基にして行われ、資産形成における確定拠出年金の役割を明らかにしようという意図があります。
本調査は、『マネーフォワード ME』に新規登録時に同意を得た上で、ユーザーの個人データを特定できない形で集計・分析されました。
調査のポイント
調査結果によると、複数の年代にわたる『マネーフォワード ME』のユーザーの確定拠出年金口座における投資信託の比率は90%を超えており、この数値は一般的なデータに比べて非常に高いことが明らかになりました。特に20代から30代の若年層においてその傾向が顕著であり、ライフサイクル投資を意識した堅実な運用がなされていると考えられます。
また、ユーザーの多くは運用を通じて平均30%を超える含み益を確保していることが分かりました。これは、確定拠出年金制度の課税繰り延べ効果がしっかりと活用されている事例です。世代が上がるにつれ、口座の残高も増加し、特に50代では企業型のユーザーにおいて平均900万円以上に達しています。このように、長期的な積立が資産形成に寄与していることが示されています。
企業型確定拠出年金の利用は、個人型に比べて口座の残高が大きくなる傾向が見受けられます。これは、企業からの拠出や給与天引きによる積立効果が大きいと考えられます。一方で、個人型ユーザーは投資信託比率が高く、今後企業型でも「見える化」を通じた投資促進の可能性があることが示されています。
調査成果の意義
マネーフォワードの執行役員、瀧俊雄氏は、この調査結果が資産形成の重要性を浮き彫りにしたと述べています。少子高齢化の進展と経済環境の変化の中、自助努力による資産形成が重要となっている今日、利用者が確定拠出年金制度の利便性と効果を理解し、実際に活用していることが示されました。
同氏は、「高い投資信託比率と30%を超える含み益は、長期的に適切な商品選定を行い、資産形成に努めている証拠です」と強調しています。また、調査結果は国民の金融リテラシー向上や、より計画的な将来設計に繋がる可能性があると提言しています。
企業型確定拠出年金活用の今後
調査結果を見て取れるように、企業型確定拠出年金は資産形成において強力な手段として機能しています。中小企業向けに企業型DCのサポートを行う花城正也氏は、制度の導入が進んでいる一方で、経営者や従業員の心理的なハードルがあると指摘しています。
しかし、今回の調査が示す高い投資信託比率と含み益は、少額でも長期間の運用が資産を促進できることを物語っています。このように、制度の運用を通じた資産形成を実現することが、個々の経済的な安定や将来設計に繋がることを期待されています。
お金の見える化サービスの存在
『マネーフォワード ME』は、資産状況の把握や年金の管理を容易にする機能を提供しています。確定拠出年金口座の管理と資産の変動を可視化することで、長期的な視点での運用を支援しています。更に、ユーザー自身が日々の支出と資産形成を意識しやすくなるように設計されています。
このように、今回の調査結果は、確定拠出年金制度の実践的な活用と、それを支えるサービスの重要性を示しています。ユーザー個々の資産形成の成功が、今後どのように広がっていくのか、さらなる動向が期待されます。