唐揚げ店の倒産、2025年は12件にとどまる
2025年の初めから11月までに発生した唐揚げ専門店の倒産件数は12件で、これは過去の最多件数である2023年の27件から大幅に減少した結果です。前年の16件に対しても25%の減少を記録しており、この数値は唐揚げ専門店が現在の厳しい経済環境でも生き残るための努力をしていることを示しています。
競争激化の背景
唐揚げ専門店の多くは、持ち帰り需要に応える形で開店されており、その参入のしやすさからさまざまな業者が市場に参入した結果、競争が激化していました。特に、コロナ禍による外出自粛の影響で多くの人々がテイクアウトを利用するようになり、一時的に人気が上昇しました。しかし、これが持続可能な需要につながるかどうかは疑問視されていました。
経済状況が変化し物価が上昇する中で、以前のように安価な原材料を使用して利益を出し続けることは難しくなっています。鶏肉の価格が高騰し、調理に必要なコストも増加する中で、唐揚げ専門店は生き残るための新たな戦略を模索しています。
生き残るための新たな戦略
倒産した12件の唐揚げ専門店はすべて資本金が1000万円未満であることから、資本力に乏しい店が苦境に立たされていることが見て取れます。しかし、生き残った店舗は、小容量のメニューや、ムネ肉とモモ肉の組み合わせによる新たな食べ応えの提案をしています。これらの取り組みはSNSで効果的に発信され、特定のメニューに対するファンを増やす要素となっています。
また、店舗側は合理的な価格設定を行い、価格の引き上げにも消費者からの理解を得られるよう努めています。この「納得感のある値上げ」により、価格を上げても客足が離れないよう工夫しています。さらに、店舗の選別的な出店戦略も進められており、利益を見込める場所を選んで新たな出店を行うなど、過去の無計画な出店とは異なる姿勢が見受けられます。
今後の展望
過去数年で唐揚げ専門店の市場は劇的な変化を迎えましたが、今後も厳しい競争が続くことが予想されます。食品スーパーや他の飲食業態も唐揚げ市場に積極的に参入してきており、消費者の節約志向も加わる中で、競争がさらに厳しくなる可能性があります。リピーターをしっかりとつかむことが、これからの唐揚げ専門店の生死を分ける重要な要素となるでしょう。
唐揚げ市場はもはやただのブームではなく、これからも進化と適応が求められる舞台です。専門店たちがこの環境でどのように戦っていくのか、引き続き注目していく必要があります。