伝統と現代が交差する「ますように」信仰の魅力を探る新刊
新たに刊行された書籍『現代「ますように」考こわくてかわいい日本の民間信仰』は、著者の井上真史氏が、日本各地に残る民間信仰の世界を紹介する一冊です。発売前から口コミで話題を呼び、「勝手に選ぶ!妖怪アワード2019ブックオブザイヤー」を受賞した同人誌版をもとに、さまざまなエピソードをブラッシュアップし、新たな内容を追加しています。この書籍は、「ますように」という言葉に宿る日常的な信仰を掘り下げ、現代の私たちがどのように神や仏、ご先祖に対して願いを込めているのかを探るものです。
日本の民間信仰とは?
日本各地には日常生活に密着した多彩な「ますように」の願いが存在します。その一例として、「猫が返ってきますように」や「雨女が治りますように」など、私たちの日々の生活の中で自然と芽生える信仰心が挙げられます。著者は実際に現地を訪れ、さまざまな願いや習俗を収集。フィールドワークを通じて、さまざまなエピソードを集めました。
書籍の構成と見どころ
『現代「ますように」考』は、各章を通じて日本の民間信仰の多様性や不思議さを紹介。特に注目すべきは以下の章立てです。
第一章 突撃、となりの願い事
この章では、現代の日本に息づくさまざまな願い事「ますように」を多角的に探ります。身近な人々の願いや、地域に根付いた信仰の形式が紹介されています。
第二章 オレたちもこの祭がわからない
不思議な祭りについて触れ、なぜそうなったのか理解できない祭の背後にある信仰や理念を考察します。
断章 逆襲のアマビエ
コロナ禍に突如として現れたアマビエの物語を通じて、疫病流行と信仰の関係を紐解きます。
第三章 あの世のぞき見紀行
仮初めのあの世について考え、行って帰ることができる不思議な体験を描いています。
第四章 願いと呪い
古典文学作品から新たに生まれた信仰やキャラクターを探求します。文学と信仰の交差点に立つ一章です。
終章 失われゆく「ますように」
信仰が続いている一方で、その意味や形が失われつつある現状について、著者の考察が展開されます。
本書の特徴
本書は、軽妙な文章で綴られており、民俗学に初めて触れる方にとっても読みやすい内容です。また、新感覚の民間信仰ガイドブックとしての実用性も充実しています。エピソードの採集地リストも付属しており、実際に現地を訪れたい読者にとって役立つガイドとなるでしょう。
書籍情報
- - 著者: 井上 真史(怪文化研究家)
- - 価格: 1,650円(本体1,500円+税)
- - 発行日: 2024年12月19日
- - ページ数: 224ページ
- - 発行所: 株式会社淡交社
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この書籍は、日本の民間信仰の興味深い一面を知るための素晴らしい入り口になることでしょう。井上氏の視点からの探求を通じて、ただの信仰ではなく、私たちの文化や習慣にどのような結びつきがあるのかを再確認できるはずです。