脳小血管病の新発見
2024-10-17 21:52:39

遺伝性脳小血管病の新たな発見—NOTCH3タンパク質の糖鎖修飾と病態機構

遺伝性脳小血管病のメカニズム解明の新たな一歩



千葉大学大学院薬学研究院の伊藤素行教授を中心とした研究チームが、遺伝性脳小血管病CADASILの原因となるNOTCH3変異型タンパク質の蓄積メカニズムを世界に先駆けて解明しました。これは、脳内での血流調整を行う細胞、ペリサイトにおいて、なぜこの病が発症するのかに焦点を当てた重要な研究です。

研究の背景


CADASILは、遺伝によって引き起こされる脳血管障害で、認知症の引き金となります。国内では脳卒中による認知症の半分以上を占め、特にアジアでは影響を受ける人が増えているとのこと。しかし、病態の詳細や効果的な治療法は未だ確立されていません。

CADASILの発症には、NOTCH3遺伝子の変異が大きな影響を与えています。この変異により生じたNOTCH3タンパク質が、老化や環境要因と結びつくことで脳内で蓄積し、毒性を持つことが分かりました。このタンパク質の蓄積が、ペリサイトの機能を阻害し、結果的に脳の血流を低下させる原因となっています。

研究の成果


研究チームは、NOTCH3変異型タンパク質が蓄積するメカニズムに関して、糖鎖修飾酵素RFNGが重要な役割を果たしていることを発見しました。具体的に以下のメカニズムが明らかになりました:

1. ペリサイトの老化によってRFNGの発現が上昇する。
2. RFNGは糖鎖修飾を促進。
3. NOTCH3の変異型は、正常なものよりもRFNGによって蓄積しやすい。
4. RFNGがシグナル活性を著しく減少させる。

これにより、NOTCH3 CADASIL変異型タンパク質が増加し、血流が悪化するという新しい病態のメカニズムが提唱されました。この発見は、米国の国際学術誌『The Journal of Biological Chemistry』でも発表されています。

今後の展望


これまでの研究により、特定のNOTCH3の変異が糖鎖修飾の影響を受けていることが明らかになりましたが、他の変異株についてもRFNGの関与を調べる必要があります。今後は動物モデルを用い、RFNGが脳梗塞や認知症の進行にどのように寄与するのか検論されることが期待されています。これにより、CADASILに対する新たな治療法の開発に繋がる可能性があります。

まとめ


本研究は、CADASILの発症機構を解明する重要な成果であり、NOTCH3の糖鎖修飾に関する新たな知見が得られました。この発見は将来的に、遺伝性脳小血管病の治療に向けた新しいアプローチを提供することが期待されています。


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