糖尿病患者の口腔健康を守るための重要な知見を発表

糖尿病患者の口腔健康を守るための重要な知見

滋賀医科大学とサンスターグループは、糖尿病患者における歯の本数や歯科受診の実態を大規模な医療データを使って分析しました。この共同研究は、糖尿病と口腔の健康との関連を解明するために行われ、特に血糖コントロールの状態によって歯の喪失に大きな差があることが分かりました。

研究の背景と目的

歯の本数を維持するための歯科メインテナンスが、患者の口腔健康を守る鍵であることは広く知られています。しかし、これまで詳細に調査されたデータは少なく、特に糖尿病患者に関する研究は限られたものでした。サンスターは、過去においても医療データに基づく研究を進めており、その結果、口腔の健康を維持するためには、定期的な歯科受診が不可欠であると示唆されていました。

本研究では、２０１５年から２０１６年にかけて集められた健康診断データをもとに、街の健康保険組合による定期健康診断を受けた糖尿病患者と一般的な市民の歯科受診の実態を徹底的に検証しました。

研究方法

本研究は、705,542人のデータを対象に、歯科受診内容を分類しました。具体的には、メインテナンスのみ、メインテナンスと治療の両方、治療のみ、そして未受診に分類し、その各状況における歯の本数との関係を調査しました。また、糖尿病患者に関しては、血糖コントロールの状態によってさらに詳細に分析を行いました。

結果の概要

全体として、研究参加者の歯科受診率は46％であり、特に若年層では受診率が低いことが確認されました。20代では34％、30代では43％と、年齢が上がるにつれて徐々に受診率が増えていく結果が見られました。

特筆すべきは、血糖コントロールが不良な糖尿病患者の歯の本数が、メインテナンスを受診していても常に少ない傾向にあったことです。これは、糖尿病の症状が悪化すると、歯の健康にも悪影響を及ぼす可能性を示しています。そして、この研究結果は、定期的な歯科受診の重要性を改めて浮き彫りにしました。

結論と今後の展望

この研究は、糖尿病患者においては血糖コントロールと同時に口腔ケアが必要であることを示しています。糖尿病を持つ患者にとって、歯科医師と医師の連携がさらに重要となります。将来的には、これらの知見をもとに患者中心の予防医療体制を強化し、口腔と全身の健康を同時に維持することが求められます。

研究の詳細は、2025年2月20日に「Diabetology international」誌に掲載予定です。これまでの研究と照らし合わせると、糖尿病患者における定期的な歯科受診が生活の質(QOL)を向上させるために不可欠であることが確認されました。この研究成果は、ただの研究にとどまらず、糖尿病患者の日々の生活や健康維持に寄与するものであることを願ってやみません。