知財の標準化活用
2021-09-15 11:00:10
知財の標準化活用が企業に与える影響とその現状調査
知財の標準化活用が企業に与える影響とその現状調査
近年、知的財産権の重要性が高まっていますが、特に「標準化」という言葉が注目を集めています。この標準化には多くの定義がありますが、特に重要とされるのが国際的に合意された基準に基づく「国際標準化」です。
1995年に発効したWTO/TBT協定を皮切りに、企業は国際標準を取り入れることで競争力を強化する必要に迫られるようになりました。特に特許商材を持つ企業にとって、特許の標準化は市場拡大の大きなチャンスを秘めています。企業が国際標準を持つことは、製品の信頼性を高め、グローバルな認知度を向上させる手段でもあります。
しかし、特許の標準化を進めるためには多くの時間と手間がかかります。そしてその複雑さから、特許を取得しても、自社で活用しきれないケースが多いのが現状です。このような背景を踏まえ、知財標準化診断サービス「スタンダードゼロ」を運営する日本知財標準事務所は、中小企業の特許取得後の活用状況に関する調査を実施しました。
知的財産権の現状
調査により、特許を保有する企業の61.1%が特許権を認知していることが分かりました。これは特許に次いで実用新案権が41.2%と続く結果であり、知的財産権の最重要要素である特許の存在意義が際立っています。
また多くの企業が知財の管理と活用についてポジティブな評価をしているものの、リソースの不足が目立ちます。具体的には、11.9%の企業が「十分に管理・活用されていない」と回答しており、教育不足や専門担当者の不在がその要因とされています。
知財の活用状況
さらに、取得した特許の利用方法についての質問では、特許を「独自に有償譲渡」している企業が30.0%に上り、特許マーケットプレイス利用者が22.5%という結果も得られました。しかし、国際標準化をしている企業はわずか9.4%で、手続きの煩雑さや時間が足かせになっています。
標準化の必要性
標準化を進めたいと考える経営者が85%に達する一方で、実際に進められない理由にはリソース不足が挙げられます。また、標準化に対する理解と関心は高いものの、特許技術の流出に対する懸念もあるようです。現行のビジネスモデルに影響を与えかねないため、慎重に進める必要があります。
調査結果から導かれる結論として、標準化による国際的な互換性の確保やコスト削減の可能性が確認されました。企業がこの標準化のメリットを享受するためには、まずは団体規格から手を付け、次第に国際標準化へとステップアップしていくべきでしょう。
日本知財標準事務所では、特許を有効に活用するための標準化の支援を行っています。特に、企業のリソース不足に対応するため、段階的にフローを見直し、標準化の全体像を把握することが重要です。適切なリソースを配分し、知財を戦略的に活用することで、企業は新しい市場のルールメーカーとしての役割を果たすことが可能です。
知財を通じた新たな収益化の手法、そして国際的な競争力を持つ市場の創造に向けて、真剣に標準化へ取り組む必要があります。標準化の流れに乗ることができれば、企業価値を高め、継続的な収益化を実現する道筋が見えてきます。
会社情報
- 会社名
-
日本知財標準事務所
- 住所
- 東京都千代田区丸の内1-7-12サピアタワー
- 電話番号
-
03-6778-1880