バイオAIスタートアップCraifの安井隆雄氏、学士院賞受賞
2026年2月3日、バイオAIスタートアップ企業Craif株式会社の技術顧問で共同創業者の安井隆雄氏が「第22回(令和7年度)日本学士院学術奨励賞」を受賞しました。この賞は、若手研究者の顕彰と今後の更なる研究の奨励を目的に創設され、安井氏の貢献が高く評価されました。
受賞理由と研究テーマ
安井氏の受賞は、特に「ナノワイヤによるリキッドバイオプシーの開発と医療応用への展開」という研究テーマが基となっています。リキッドバイオプシーとは、血液や尿といった体液を用いて疾病、特にがんを検出する手法です。この手法は、従来の侵襲的な採取方法に比べ、体に優しく、早期発見を可能にする画期的なものであり、特に鍵となる技術がナノワイヤーです。
ナノワイヤーは直径がミクロン以下の極細な線状物質で、安井氏はその中でも特定の物質が体液中の生命分子と相互作用することを発見しました。この発見をもとに、リキッドバイオプシーにおける新たな応用を考案し、ナノワイヤーの制御技術と表面解析技術を組み合わせることで、ターゲットとなる生命分子を効果的に捕捉する技術を完成させました。
医療応用と社会への影響
安井氏の研究は、実際に多くの医療機関で導入されています。現在、47都道府県の2000を超える医療機関において、がんの予後検知や転移メカニズムの解明に寄与しています。これによって、患者の早期治療や個別化医療の実現が進むことが期待されています。さらに、この技術は世界的にも注目され、トップジャーナルに特集が組まれるなど、学術的なインパクトも大きいものです。
Craif株式会社のビジョン
Craifは2018年に設立されたバイオAIスタートアップで、がんの早期発見に特化した革新的な検査技術を開発しています。多様なバイオマーカーを高精度に検出できる「NANO IP®︎(NANO Intelligence Platform)」とAI技術を融合させ、がんの超早期発見から早期治療・早期復帰を目指しています。こうした取り組みは、「人々が天寿を全うする社会の実現」というミッションを実現するための重要なステップとなっています。
マイシグナル・スキャンとは?
特に注目されているのが「マイシグナル・スキャン」という検査です。これは尿中に含まれるマイクロRNAを抽出し、AIで解析することで、すい臓がんを含む10種類のがんリスクをステージ1から評価します。従来の検査と異なり、尿を採取するだけで簡便に行えるため、患者にとって負担が少なく済みます。すでに多くの利用者に良い評価を受けており、今後のさらなる展開が期待されています。
安井隆雄氏の経歴
安井氏は東京科学大学の生命理工学院で教授として活躍しており、過去にはImPACTプロジェクトのマネージャー補佐やJSTさきがけ研究員を務めました。彼の研究はナノデバイスを利用した生命分子解析や生命現象の解明に特化しており、特にがん関連の研究において多大な影響を及ぼしています。また、Craifを共同創業した背景には、がんの早期発見に特化した技術を実用化する強い思いがあるとされています。
まとめ
今後も安井氏とCraifは、医学とAIの融合を進めながら、新たな疾患の早期発見や治療法の開発に挑戦し続けることでしょう。彼らの活躍は、患者だけでなく、医療界全体にとっても希望となるはずです。