飛騨匠の技が京都の祭りを彩る!高山市の職人が祇園祭「大船鉾」の車輪を新調
岐阜県高山市を拠点に、祭りに欠かせない屋台や山車、社寺建築の修理を手掛ける八野大工。彼らの卓越した技術が、なんと京都祇園祭の象徴的な山車「大船鉾」に活かされることになりました。
今年度完成した「大船鉾」の新しい車輪は、7月4日に京都へ納品され、関係者に披露されました。伝統を受け継ぐ八野大工の職人が、長年の経験と技術を駆使して作り上げた車輪は、直径約2.1メートル、重さ700キロという巨大なもので、その迫力と美しさは圧巻です。
京都祇園祭は、古くから続く伝統的な祭りとして、日本三大祭のひとつに数えられています。神輿を迎える「前祭」と神輿を送る「後祭」があり、「大船鉾」は「後祭」に登場する山車です。その歴史は古く、応永29年(1422年)にはすでに存在していたという説や、嘉吉元年(1441年)の建立という記録が残っています。
長い歴史の中で、何度かの焼失と復興を繰り返してきた「大船鉾」ですが、平成26年(2014年)に150年ぶりに復活し、再び祭りを盛り上げています。しかし、復活した「大船鉾」は、本来の姿に近づけるため、現在も復興事業が続けられています。
今回の車輪新調は、復活した「大船鉾」の車輪が、同じ京都祇園祭に登場する「菊水鉾」から譲り受けたもので経年劣化が見られたことから実現しました。
八野大工は、滋賀県大津祭の月宮殿山を手掛けた実績があり、その技術力と経験が認められて「大船鉾」の車輪新調を任されたのです。八野大工には、「高山・祭屋台保存技術協同組合」に加盟する職人が多く在籍しており、飛騨匠の伝統を受け継ぐ技術者の集団として知られています。
7月6日(土)には、高山市から京都まで車輪が運ばれ、納品式が行われました。そして、7月20日(土)には、実際に車輪が取り付けられ、試し曳きが行われる予定です。
京都祇園祭と高山祭は、ともに全国山・鉾・屋台行事としてユネスコ無形文化遺産に登録されている歴史ある祭りです。今年の京都祇園祭では、八野大工の職人が作り上げた「大船鉾」の車輪が、その威容を誇り、祭りを華やかに彩るでしょう。飛騨匠の技が現代に受け継がれ、新たな息吹を吹き込んだ「大船鉾」の姿を、ぜひ間近でご覧ください。