AI技術で引越し業務を効率化する「ぐるっとAI見積り」が評価

株式会社アイスリーデザインが開発した自動見積りアプリ「ぐるっとAI見積り」が、日本最大級のデジタルトランスフォーメーション（DX）コンテスト「日本DX大賞2025」で奨励賞を受賞しました。このアプリは、引越し業界の業務効率化を目的に開発されており、特に深刻な人手不足に直面する現場において、その重要性が高まっています。

1. 引越し業界の課題と「ぐるっとAI見積り」の役割

近年、引越し業界は大きな変革の波に直面しています。「2024年問題」として知られるドライバーの労働時間規制や、2030年には高齢ドライバーの引退が進行し、業界全体で約35％の輸送能力が減少する可能性が指摘されています。このような状況下で人手不足が加速し、業界の持続可能性が問われています。

「ぐるっとAI見積り」は、AIの力を活用して引越し見積り業務を効率化することを目指しています。スマートフォンで部屋を撮影するだけで、AIが即座に見積もりを行う仕組みとなっており、これにより従来の煩雑な作業を大幅に軽減することができます。

2. 日本DX大賞2025について

「日本DX大賞2025」は、全国からのDXに関する取り組みを評価するコンテストで、今年は過去最多の158件が応募されました。この中からファイナリストに選ばれた「ぐるっとAI見積り」が奨励賞を受賞したことは、業界内外からの高い評価を反映しています。特に、AIを利用した自動見積りアプリの開発は、引越し業界のデジタルシフトを象徴するケースといえるでしょう。

3. アプリの特長と技術的な革新

アプリにはいくつかの特長があります。まず、オペレーターが部屋を「ぐるっと」撮影するだけで、AIが自動的に見積もりを算出します。また、3D点群モデルを使用して高精度の積算が可能であり、誤差も許容範囲内に収めた信頼性の高い見積もりを提供します。これにより、従来の手法では実現が難しかった高い精度が実現されています。

開発にあたった執行役員の久保星哉氏は、「AIモデルの構築は難易度が高く、試行錯誤の連続だった」と語ります。しかし、最終的には安定した結果が得られ、アート引越センターからも「信頼できる結果が得られる」と評価されています。

4. デジタルシフトの重要性

業務のデジタル化に関する相談は急増しており、特に引越し業界をはじめとする多くの企業からの需要が高まっています。アイスリーデザインでは、業務効率化を目指すクライアントの要望を受け、初期段階からの相談に応じています。例えば、アナログ的なやり取りからデジタル化を望む声が多く、具体的な施策が助けを必要としている現場では強く求められています。

2024年問題に続く2030年問題が迫る中、引越し業界を枠を超えた広範囲なデジタルシフトが期待されています。アイスリーデザインは、今後もこれらのニーズに応じたプロダクトを提供し、社会の持続可能性に寄与していく考えです。