医療コミュニケーションを変える新たなツール「よりそい」の紹介

患者と医療機関の新たなコミュニケーション手段「よりそい」

医療の現場では、患者と医療従事者の間での情報の伝達が重要でありながら、しばしば難しさが伴います。その中で、株式会社メディキャンバスが開発した医療コミュニケーション支援ツール「よりそい」が注目を集めています。このツールは、診察内容を患者がわかりやすく把握できるように手助けするため、現在大阪の複数のクリニックや薬局で導入が進んでいます。

診察時の課題を解決する「よりそい」

診療のシーンでは、患者に多くの情報が短時間で伝えられるため、後々その内容を思い出すのが難しいことがよくあります。特に高齢者や精神的に疲弊している患者にとって、診察内容をしっかりと記憶することは容易ではありません。そのため、家庭内での情報の共有や再来時のフォローに支障が出ることもあります。このような状況に対処するために「よりそい」は開発されました。

「よりそい」では、医療者が行った説明を要点化し、患者が後から確認できる形で提供します。患者だけでなく、家族も含めた情報の共有が可能で、誤解や不安を減少させることが期待されています。

具体的な活用シーンと実績

「よりそい」の導入例は多岐にわたります。例えば、首都圏にある訪問診療クリニックでは、患者の治療状況を家族と簡単に共有できるようになり、診察にかかる時間を大幅に短縮しました。また、地方の小児科クリニックでは、子供の体調について家族にリアルタイムで情報を発信できるため、安心した治療が行えると好評です。また都市部の調剤薬局では、服薬指導の内容を簡潔に確認し、再訪時の説明の抜け漏れを防ぐ役割を果たしています。

このように、「よりそい」は様々な医療現場での情報伝達を支援し、患者の安心感を高める手助けをしています。

利用者の声と操作方法

「よりそい」は非常にシンプルに使えるため、患者もすぐに利用できます。たとえば、患者は普段使用しているLINEアプリから「診察メモをはじめる」を選択するだけで、診察内容の要約を手に入れることができます。診察終了後には、1分以内に要約がLINEで送信され、患者はそれを確認するだけで済みます。

医療機関側では、患者の診察記録や要約を容易にアクセスでき、必要に応じて内容を修正した後に送信することができるため、医療者が意図した正確な情報を提供できます。これにより、患者や家族の不安を軽減することが可能になります。

今後の展望と機能拡充

「よりそい」をさらなる基盤ツールとして進化させるための取り組みが始まっています。今後は高齢者や小児向けの理解を助ける機能を強化し、視覚的に情報を整理する図解テンプレートを導入する予定です。また、介護や訪問看護といった地域医療の専門職とも情報を共有し、より良い患者支援を目指します。

さらに、家族向けの共有機能を拡充し、家庭での情報の齟齬を防ぐとともに、家族単位での治療方針の理解も深めるための仕組みを整えます。これにより、医療者と患者、家族が円滑にコミュニケーションをとれる環境を築くことが期待されています。