EV市場の現状
2024-11-28 14:43:31
充電インフラ不足がEV市場の成長を妨げる最新調査結果
最近、EYが発表した「EY Global Mobility Consumer Index(MCI)」の第5回調査において、電気自動車(EV)の需要が世界的に減少していることが示されました。この調査では、世界28カ国から19,000人の回答者が参加し、その結果、多くの消費者が充電インフラの不足を最も大きな懸念としています。調査によると、EVを購入しようとしている消費者の割合は58%で、昨年の55%から微増しました。しかし、EVの需要は2020年以来、急激に増加したものの、最近では横ばい状況が続いています。特に、27%の消費者が充電インフラの不足を主要な懸念として挙げ、続いて25%が航続距離について不安を感じています。これに加えて、18%が充電に時間がかかる点を問題視しています。
また、調査結果としてバッテリー交換に関する不安も明らかになり、26%がそのコストが高いことを懸念しています。EV購入を検討している消費者の動機としては、2024年の燃料費の高騰が37%を占め、環境への配慮は減少傾向にあります(2021年の49%から2024年には34%に)。
全体の自動車購入意欲は、44%から51%に上昇していますが、米国市場では全体的な動向とは逆に、自動車購入意向者が減少しています。特にEV購入希望者は昨年の48%から34%に低下しました。一方で、ハイブリッド車は需要が伸びているという傾向があります。
欧州市場、特に英国では自動車購入意向者が増加し、45%から56%へと大幅に跳ね上がりましたが、EV購入意向者の割合は54%から59%に留まっています。このように、EV市場に対する期待と実際の購入意向にはギャップが存在しています。
EYグローバル自動車セクターリーダーのUlrika Eklöfは、この調査結果を自動車業界やエネルギー分野への警鐘として捉えるべきだと述べています。今後もインフラ整備や技術開発に取り組む必要があることが示されています。さらに、都市部では中国のEVブランドが急成長しており、2023年のEV販売に占める中国ブランドの割合が8%に達しています。
興味深いことに、ヨーロッパでは中国ブランドの人気が高まり、その理由として59%の消費者がコストパフォーマンスの良さを挙げています。年齢層による認識の違いも明らかになり、ミレニアル世代は中国ブランドに対する信頼度についてより高く評価していることがわかります。
調査では、コネクテッドカーに対する関心も高まり、60%以上の消費者がナビゲーションや安全性の向上に関連する機能を重視しています。一方で、コネクテッド技術による点検費用の高さやデータ提供に対する懸念も存在します。これらの点に対して、自動車メーカーはさらなる取り組みと消費者への実用的な価値の提示が求められています。
一方、国内においては人口減少や価値観の変化がEV購入意欲に影響を与えた結果、インフラ整備の必要性が強調されています。経済産業省のデータによると、現在の充電インフラは約3万基で、2030年までに15万基の設置を目指しています。これに伴い、EV市場が現状の5倍に拡大することが期待されています。
このように、電気自動車の未来は今、さまざまな課題に直面していますが、同時に新たな機会も広がっています。消費者のニーズや期待に応えるためには、技術とインフラの両方において社会全体で協力し、持続可能なモビリティの実現を目指すことが不可欠です。
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