慶應イノベーション・イニシアティブが次世代放射線医薬品開発企業に出資し医療革新に寄与

慶應イノベーション・イニシアティブがリンクメッドに出資

慶應イノベーション・イニシアティブ（KII）は、量子科学技術研究開発機構から生まれたスタートアップであるリンクメッド株式会社に対して出資を行いました。今回の出資によって、リンクメッドは総額35.5億円という資金調達を達成し、特にリードプログラムの臨床試験の推進や製造体制の構築に注力する方針です。

リンクメッドの使命

リンクメッドは、新しい放射線核種「64Cu」を使った次世代放射線医薬品の開発に力を入れています。近年、放射線医薬品はがん治療において革新をもたらす存在として注目を集めており、従来の治療法の課題を解決するための精密なアプローチを提案しています。しかし、現行の放射線核種には薬物の動態を制御することが難しいため、重篤な副作用のリスクや、薬剤設計における制約が課題となっていました。

64Cuを活用することで、リンクメッドはその高いがん細胞への殺傷効果を維持しつつ、これまで対象とされてこなかったがん種への応用が可能になります。また、この核種はPET診断を促進する陽電子を同時に放出する特性を持ち、「見ながら治療」を実現するという革新的なアプローチが可能です。

資金調達による展望

今回の資金調達により、リンクメッドはリードプログラムである「64Cu-ATSM」の第3相試験を進めつつ、上市を見据えた製造体制の確立にも注力します。これにより、これまで治療が難しいとされてきた難治性がん患者に対し、革新的な「見える」がん治療を提供することを目指しています。

会社概要

リンクメッド株式会社は、2022年に設立され、放射性医薬品を用いた革新的ながん治療法の開発を進めています。所在地は千葉県千葉市、代表取締役社長は吉井幸恵氏です。詳細情報は公式ウェブサイト（リンクメッド公式サイト）で確認できます。

KIIについて

慶應イノベーション・イニシアティブ（KII）は、2015年に設立され、慶應義塾大学の研究成果を活かしたスタートアップの支援を目的としています。また、2020年からは「その研究が、社会を変えるまで」をミッションに掲げ、医療や健康の課題解決に取り組むスタートアップへの投資を行っています。2023年には大学発のインパクトファンドを設立し、「健康で幸福な人生を達成出来る社会」の実現を目指しています。