建設業の倒産が過去10年で最多に増加
株式会社帝国データバンクによると、2025年上半期における建設業の倒産件数は986件に達し、前年の917件から約7.5%増加しました。この数値は、過去10年で最も多く、通年では2000件台に到達する可能性も示唆されています。この現象の背景には、高騰し続ける資材価格や人手不足の影響が深く関わっています。
倒産件数の推移とその要因
主な倒産要因としては、受注の不振が横行していますが、特に注目すべきは資材の価格高騰と人材確保が困難な状況です。2025年の上半期でみると、倒産件数の12%にあたる118件が物価高に起因しています。具体的には、鉄骨や木材、住設機器といった必要資材の価格が急上昇し、企業がそのコストを顧客に転嫁できず、最終的に事業継続を断念するケースが増えています。新栄塗装工業は、負債9000万円を抱え、資材や人件費の高騰によって収益を圧迫され、倒産に至りました。このような状況は、多くの中小零細の建設業者に共通しています。
人手不足がもたらす影響
また、人手不足も深刻な影響を及ぼしています。倒産の中には、職人不足を理由とするものが54件(5.5%)も存在し、経営の後継者が決まらないことが原因となっているケースも69件(7.0%)あります。特に、熟練した職人の高齢化が進んでおり、求人が厳しくなった結果、施工力が低下し、プロジェクトが遅れたり外注が増えたりする悪循環に陥りやすい状況です。管工事を行っていたSHINKIは、1億円の負債を抱え、人手不足から外注費が増大し、最終的には赤字を計上する事態となっています。
何が求められているのか
今後、熟練職人の高齢化に伴いさらなる人手不足が予測され、建設業界全体の経営状況は依然厳しいものが予想されます。賃金の引き上げが求められている一方で、中小企業にはその余力が乏しいため、さらなる倒産のリスクが高まっています。特に、職人確保のための賃上げが進まない限り、この問題の解決は困難であり、業界全体に影響を及ぼす可能性があります。
建設業は経済の根幹を支える重要な業界です。その運営が危ぶまれることは、ひいては社会全体にとっても影響があります。このような状況を打開するためには、どういった対策が必要かを真剣に考える時がきています。