首都圏賃貸市場の現状と展望:CRIX指数が示すエリア別分析
日本情報クリエイト株式会社(証券コード:4054)が発表した最新レポートによると、コロナ禍後の首都圏賃貸市場は回復基調にあるものの、エリアや物件タイプによって状況は大きく異なるようです。同社が提供する賃貸不動産市場指標「CRIX指数」を用いた分析結果を基に、各エリアの現状と今後の見通しを見ていきましょう。
東京23区:回復基調と供給過剰の共存
東京23区では、人口流入の増加により空室率は改善傾向にあります。特に、30~50㎡、50㎡以上の比較的広い物件では賃料上昇が見られます。しかし、20㎡以下の狭小物件は供給過剰が依然として問題となっており、賃料は横ばいもしくは下落傾向にあるとのことです。このことから、需要は広めの物件に集中していることがわかります。
東京都下:価格競争が激しい状況
東京都下も全体的には空室率の改善が見られますが、20㎡以下の物件は供給過剰が続いています。注目すべきは、30~50㎡のアパートです。東京23区よりも約30%安い価格設定が奏功し、高い成約率を記録しています。一方、マンションは流通物件との競争が激しく、賃料の改善は進んでいません。
神奈川県:駅近物件が人気
神奈川県では、駅近などの利便性の高い物件が非常に人気で、20㎡未満の物件でも賃料上昇が見られています。30~50㎡の物件は空室率が低く、賃料も上昇傾向にあり、東京23区の高賃料を避けて家族世帯の流入が増えていると考えられます。
埼玉県:需要と供給のバランスに変化
埼玉県では、20㎡以下の物件が供給過剰で、空室率が高い状況が続いています。しかし、20~30㎡の物件は、東京23区の高賃料を避ける単身者層に支持され、空室率の改善と賃料の上昇が見られます。30~50㎡以上の物件は、流通物件との競争が激しく、賃料の改善は鈍化しています。
千葉県:コストパフォーマンスが魅力
千葉県では、30~50㎡の物件が東京23区よりも約35%安い価格設定となっており、家族世帯にとって魅力的な選択肢となっています。その他の傾向は埼玉県と似ており、20㎡以下の物件では供給過剰が続いています。
まとめ:広さと立地の重要性
今回のレポートから、首都圏の賃貸市場では、広めの物件や駅近物件を中心に回復傾向にあるものの、狭小物件の供給過剰が依然として課題であることがわかります。今後、需要と供給のバランスがどのように変化していくのか、注目していく必要があります。日本情報クリエイトは、CRIX指数を活用し、今後も継続的に市場動向の分析結果を発表していくとのことです。
CRIX指数について
CRIX(クリエイト賃貸住宅インデックス)は、日本情報クリエイトが保有する膨大な賃貸住宅管理データに基づいて算出される指標です。平均賃料と空室率に関する月次データを提供し、全国の都道府県と主要市区町村を網羅しています。間取りや床面積別データも提供され、様々な角度から市場分析を行うことができます。
日本情報クリエイトについて
日本情報クリエイト株式会社は、不動産業界向けITソリューションを提供する企業です。30年以上にわたる経験と実績を活かし、不動産ビジネスの課題解決に貢献しています。