AIエージェントが変える中期経営計画の策定と推進管理
株式会社三菱総合研究所(MRI)は、2023年9月2日から中期経営計画の策定と推進管理にAIエージェントを活用する支援を始めました。経営戦略の変化に迅速に対応するため、MRIの豊富なインテリジェンスノウハウを基にしたAIエージェントを導入し、ビジネス環境を精緻に分析し、経営方針や施策案を提示します。
背景
現代の企業では通常、3年から5年先を見越した中期経営計画を策定します。しかし、単一のシナリオと想定外部環境だけを考慮するケースが多いのが実情です。最近の急速な経済変化や社会環境の変動により、事前に設定したシナリオと現実が乖離することが頻繁に起こっています。ただし、中期経営計画の進行中にシナリオを見直すことは難しく、戦略を適応するための施策の修正ができない課題が浮き彫りになっています。また、計画策定には時間や人的リソースを大量に消費し、その結果、現場の疲弊や計画作成自体が目的化してしまうことも問題です。
そこで、近年進化するAI技術に注目し、MRIはこの問題を解決するためにAIエージェント活用による支援を決定しました。これにより、企業は環境変化に応じてシナリオと施策の見直しを柔軟に行うことが可能になり、よりタイムリーな戦略策定が実現するのです。
具体的な支援内容
MRIでは自社開発のAIエージェントによるインテリジェンス基盤を活用し、循環型の中期経営計画の策定および進捗管理を支援します。主なプロセスは次の2つのサイクルで構成されます:
1.
シナリオ設定サイクル
- シナリオの洗い出し
- シナリオの選定
- シナリオの実現状況モニタリング
2.
施策実行サイクル
- 選択したシナリオに基づく施策の設定
- 施策の実行
- 進捗レビュー
このサイクルを通じ、情報収集や情勢の変化の検知をAIエージェントが行い、想定と現実の乖離が発生した場合には、シナリオを再評価し、施策の見直しを行うことができます。これにより、企業は現在の環境に適応した戦略を迅速に再構築できるのです。
今後の展望
MRIは今後、企業の内部環境分析機能の拡充を計画しており、財務状況や事業ポートフォリオ、組織構成など内部データの分析が可能なAIエージェントを開発します。これにより、自社の強みや弱み、経営課題をより客観的に把握し、即応性のある経営戦略を打ち出す体制を整えることが目指されています。
最終的には、外部環境・内部環境の統合的な分析を通じて、シームレスな戦略立案を実現するための総合的な経営支援プラットフォームを構築し、企業が迅速に進化できる基盤を提供していく計画です。これにより、AIエージェントは企業運営において不可欠な存在となるでしょう。