日本企業の中国進出、変化の時を迎える
日本企業の中国におけるビジネス展開が大きな転機を迎えています。これまで多くの企業が中国市場に魅力を感じ、進出してきましたが、近年ではその数が減少傾向にあることが明らかになりました。2024年6月時点で、中国に現地法人や工場を持つ日本企業は約1万3034社であり、これは前回調査と比較して328社の増加を見せているものの、2022年の1万2706社と比べても、依然として厳しい状況にあるのです。
中国ビジネスの「チャイナリスク」
日本企業が直面しているのは、中国政府の政策や経済状況の不透明さ、米国との対立による影響など、さまざまな要因です。特に「チャイナリスク」が顕在化しており、企業は拠点を一か所に集中させるリスクを再評価する必要に迫られています。このような中、現地法人の統合や撤退が進み、企業戦略の見直しが行われています。
実際、調査によると、製造業や卸売業がその影響を受けやすく、新規参入企業数も変動していることが示されています。
撤退と再編の波
特に「上海市」では約1000社、すなわち1割以上の企業が減少しており、沿岸部での減少傾向が目立っています。その一方で内陸部に進出する企業は増加していることが特徴的です。このように、進出先の動向にも変化が見られ、企業は新たな市場の可能性を模索している状況です。
業種別に見ても、最も多くの企業が進出しているのは製造業で、全体の約4割を占めていますが、最近では建設業やサービス業の進出も目立つようになってきました。建設業は特に不動産開発の進展を背景に増加しているとのことです。
中国ビジネスの海外拠点の見直し
一方で、欧米企業は中国とのデカップリングを進めており、日本企業の中でも、中国市場に対する警戒感が強まっています。その結果、現地法人の統合や生産拠点を日本や近隣の東南アジア諸国へ移す動きが見られます。
コロナ禍以降、長期にわたって続いた海外進出や取引における課題を実感している企業が多く、今後のビジネス戦略の見直しが必須になるでしょう。
今後の展望
日本企業が中国市場での活動を見直す中、新たなビジネスチャンスが生まれているのも事実です。特に介護業界や日本食レストランの進出など、B to Cマーケットへのシフトが進行中です。これにより、全体の進出企業数が増加する可能性も見込まれます。
中国市場は依然として魅力的なものであり、多くの日本企業がそのポテンシャルを活かそうとしていますが、その方法は必ずしも従来通りではなく、柔軟なアプローチが求められています。
結論
以上のように、日本企業の中国進出は曲がり角を迎え、様々な要因がその方向性を揺るがしています。撤退という選択をする企業が増えている一方で、新たなビジネスモデルや市場の開拓に挑戦する企業もあり、今後の動向に注目が集まります。日本企業は、中国市場に対して慎重な視点を持ちながら、さらなる成長を目指して新しい戦略を模索し続けています。