DHLが示す2025年のグローバル貿易の動向
最近発表されたDHLのレポートによると、グローバル貿易は依然として堅調に推移しています。特に、米国の高関税政策が影響を及ぼす中でも、2025年までの貿易量が年率2.5%成長する見通しです。これは過去10年間の成長率とほぼ同じであり、驚くべき回復力を示しています。
高関税がもたらす逆風
DHLとニューヨーク大学スターンビジネススクールが共同で発表した「DHLグローバル・コネクテッドネス・トラッカー」は、トランプ政権下の通商政策の変化が国際貿易に与える影響を分析した初のレポートとして位置づけられています。米国では、輸入のわずか13%、輸出は9%に過ぎないため、世界全体の貿易成長において米国の影響は限られています。
DHLのCEOジョン・ピアソンは、「貿易障壁は全球的な利益にならないが、グローバルなビジネスには依然として多くの機会がある」と述べており、企業は様々な逆風の中でもビジネスを続けていると強調しています。
世界の貿易の成長を支える要因
米国の関税引き上げは貿易の成長を鈍化させるものの、成長そのものを止めるものではありません。2025年初めの関税引き上げ前の予測は3.1%の成長を見込んでいたが、今は2.5%に下方修正されています。しかし、南米や中東・北アフリカ地域は、その影響が限定的であり、成長見通しが上方修正されています。中東では石油の生産増加が貿易を後押しし、南米では従来の輸出先からの影響を受けにくい構造を持っています。
2025年前半の国際貿易の現状
2025年前半では、パンデミック後の急回復期を除けば、国際貿易が2010年以来の最速成長を遂げています。DHLによれば、米国での関税発動前の駆け込み需要により輸入が急増したことが一因です。中国はアジア市場への輸出を強化し、他国への輸出も拡大しています。これにより、世界全体の貿易量は前年を上回る水準を維持しています。
地政学的対立と貿易のトレンド
一方で、最近は国際的な地政学的対立が強まっていますが、トラッカーによると貿易の地域集中は見られないとしています。貿易の平均輸送距離は過去最長の5,000キロメートルを記録し、地域内で完結する貿易の割合は過去最低の51%となっています。これにより、世界は依然としてグローバリゼーションの高水準を維持していることが示されています。
結論
このように、DHLの最新レポートは、臨機応変に対応する力強い国際ビジネスの姿を示しています。国境を超えた取引がいかにして続いているか、また企業がどのようにリスクをマネジメントしているかを理解することが重要です。データを基にしたこのレポートは、今後の貿易や投資に関する重要なインサイトを提供しています。